トリュフォーの思春期のレビュー・感想・評価
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子供たちの情景に笑顔と慈しみこみ上げる
トリュフォーが手がける作品の特徴として「子供たち」というモチーフは代表的なもの。中でも本作は、年端もいかない子供たちが学校や家庭で繰り広げる情景をユーモラスかつ生き生きと描き出していて心掴まれる。子供らの様々な表情をパッチワーク的に織り込む構成ながら、家庭内に問題を抱えた少年の存在が一つのフックとなり、彼を巡り教師が子供らに語りかける言葉にトリュフォーの思いがギュッと凝縮されていたように思う。「大人は判ってくれない」では主人公の少年に少なからず自身を投影させたトリュフォーだが、「野性の少年」では子を導く父親の視点になり、さらにこの「思春期」ではおじいちゃんのような視点になったとも語っている。映像からほとばしる温もりや状況を広く俯瞰する視座もそういった心境の賜物なのかも。ちなみにスピルバーグの「E.T.」で印象的な学校の情景(カエル、反逆、キス)に微かな本作の影響を感じるのは私だけだろうか。
「思春期」前、今なら「男子」かな〜
邦題が「思春期」となってるけど、今なら 「トリュフォーの『男子』」とかがふさわしいかも〜〜 女の子や幼児も出てくるけど、 梅佳代さんの写真集「男子」みたいに、 小学校の5年生くらいの、まだ、中二病では無いけど、 ちょっとだけ性への興味も出てきて、 大人の裏表の使い分けも何となく理解できて来る年頃の 瑞々しい少年達の日常を、付かず離れず追った作品で 一つ一つのエピソードの積み重ねが楽しいし笑えるし、 結構ちゃっかりしてたりして、いかにも子供らしい話もあれば、 社会の不条理に子供ながらも必死に立ち向かっている姿もあって 特に有名な役者さんも、衝撃的なことも起こらないけど 全然飽きることなく観られました。 まさしく現代の「男子」「女子」達にも観せてやりたい。 こういう映画は「午前十時の映画祭」ならではなので 観ないと勿体ないよな〜〜
トリュフォー監督の瑞々しい感覚が伝わる傑作
ティエールというパリから南に400キロ下った小さな地方都市の小学生達の6月から夏休みまでの1ヶ月程のお話 本作の主題は終盤で児童虐待を受けた児童のことで担任の先生が学級の児童全員に話をする内容であって、本作のそれまでのすべてのシーンはこれにつながる その構成がまずすごい 先生の話が進むに従って、あのシーンこのシーンと走馬灯のように脳裏に甦ってくるのだ またその各々のシーン、エピソードが瑞々しい 子供達の自然な演技、表情をよくぞ撮ってみせたものだ そして、そのシーン全部が美しい色彩感覚でフィルムに撮られているのだ 原題はフランス語で、おこづかい 邦題の思春期の方が本作の内容をより的確に伝えて表現できており素晴らしい 映画の序盤はまだ思春期前の子供に過ぎない児童達が、映画が進むに従って次第に思春期に近づいていくのが見事だ そうしてラストシーンは冒頭に出てくる少女とこの小学校の児童が思春期に足を踏み入れて終わる 見事な手腕としか言いようがない 誰しもが自分の思春期を思い出して、感慨と余韻が残る名作だと思う トリュフォー監督の実力に感服するばかりだ 日曜日の午前中に似合う映画です 冒頭の絵葉書の場所は、パリからティエールに向かう途中300キロの辺りにあります ラストシーンの林間学校はメリンドルと言う村 ティエールからさらに400キロ南に下ったマルセイユの70キロ程手前にあります
彼らのように、強くあれ
良い映画だった。 大人はなんでもできるが、子供はできない。それは選挙権が認められていないことによって子供の意思が尊重されないのに代表される。今の環境に満足するな、妥協を知るな、愛を知れ、強くあれ、利発であれ、優しい大人になれ... ニーチェの言葉を借りれば、意志を持て、力を抑えることに力を使うな。禁欲主義的理想への崇拝は"善"の誤解である、ということであろう。 人生とは、愛し愛されるものだ。人は愛なしでは生きることができない。愛への純粋な追求は恥じるべきことではない、むしろ最も人間らしい。 人間は、彼らのような子供の時期が、1番純粋で、好奇心に満ち溢れ、生き生きとしている。我々のような大人も、こうあるべきなのだ。しかし、我々は社会で様々なこと知り、その結果(無意識にも)様々な事柄に束縛されてしまっている。 然るに本来かくあるべきである子供たちを、権利という鎖でその自由を奪うのは、あってはいけないことなのである。今の社会では、大人はもう真に自由に、純粋な理性に従って生きることができなくなってしまった。だからこそ、子供のうちは、彼らのような溌剌さも、尊重すべきなのだろう。
共感できず
様々な子供達の目線で描かれているため、エピソードが頻繁に変わり、その度に気持ちが途切れてしまい共感できなかった。作品に入り込むことも出来ず途中で飽きてしまいzzz…。残念ながらこの作品の良さを感じることが出来なかった。 (午前十時の映画祭にて鑑賞) 2017-119
「思春期」前、今なら「男子」かな〜
邦題が「思春期」となってるけど、差し詰め今なら 「トリュフォーの『男子』」とかがふさわしいかも〜〜 女の子や幼児も出てくるけど、 梅佳代さんの写真集「男子」みたいに、 小学校の5年生くらいの、まだ、中二病では無いけど、 ちょっとだけ性への興味も出てきて、 大人の裏表の使い分けも何となく理解できて来る年頃の 瑞々しい少年達の日常を、付かず離れず追った作品で 一つ一つのエピソードの積み重ねが楽しいし笑えるし、 結構ちゃっかりしてたりして、いかにも子供らしい話もあれば、 社会の不条理に子供ながらも必死に立ち向かっている姿もあって 特に有名な役者さんも、衝撃的なことも起こらないけど 全然飽きることなく観られました。 まさしく現代の「男子」「女子」達にも観せてやりたい。 こういう映画は「午前十時の映画祭」ならではなので 観ないと勿体ないよな〜〜
見事に子供目線で描かれている。エピソードの繋ぎ方が素晴らしく、演じ...
見事に子供目線で描かれている。エピソードの繋ぎ方が素晴らしく、演じている子供達の表情がとても素敵でいつの間にか自身の子供時代と重ねてしまった。
午前十時の映画祭8
子供たちの世界観が描かれた素晴らしく愛らしい子供の群像劇。 それぞれのキャラも可愛らしく普通に生活する姿を可笑しくもユーモラスに時折シュールにトリュフォーは子供たちを活き活きと演出していて演じる子供たちも楽しそうで観ているコッチは癒される。 何が起こる訳でも無いしコレと言った物語もあるようで無いようなただ子供たちを観ているだけで興味の持続力は保たれる。 本作の背景にはもっと深刻な問題が描かれているのだろうけれども素直に清々しく幸せな気持ちで観てしまう単純明快な自分。
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