「ゲイリー・オールドマンと特殊メイクの親密性をうかがえる快作」ドラキュラ(1992) ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
ゲイリー・オールドマンと特殊メイクの親密性をうかがえる快作
カメレオン俳優として知られるゲイリー・オールドマンだが、同様の誉れ高いダニエル・デイ・ルイスなどに比べると決定的な違いがある。それはゲイリーの場合、自分一人の力だけで完結する役づくりに終始しないという点だ。とりわけ本作は自らの俳優としてのオーラに拘束具でもはめ込むかのように、特殊メイクを施して七変化を魅せる。そのクオリティが凄い。そこにはもはや、本家ドラキュラをも凌駕する、恐ろしい「化け物ゲイリー」が解き放たれ、阿鼻叫喚の絵図を巻き起こす。結果、ハーカー役のキアヌ・リーヴスも、ヴァン・ヘルシング役のアンソニー・ホプキンスも、重要役なのにゲイリーに比べるとスケールがまるで違い、小さく見えてしまう始末。いやいや、それでも公開から25年を経て改めて鑑賞しても全く色褪せないのはさすがだ。特殊メイクもコスチュームデザインも映像技術も研ぎ澄まされ、ゲイリーの魅力が存分に味わえる快作に仕上がっている。
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