ドライビング・MISS・デイジーのレビュー・感想・評価
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制作当時の無自覚な差別を垣間見る
近年でもまだまだたくさんある異人種交流ものの作品だ。差別や偏見を扱った系である。
作中での時間経過がとても長く、デイジーとホークが相当長い時間を共にしてきたのだが、深いやり取りはほとんど描かれない。
それでも、ふとした変化を見るに、描かれていない抜けているピースがなんとなく想像できてしまうのはいい。
笑えてハートフルでシンプルながら、とても良い作品だったと断言できる。しかも中々面白い。
面白く良い作品だと前置きして、なんかモヤッとしたなんだかなあ、なところをこれから書く。
モーガン・フリーマンといえば、穏やかな役の多い俳優だろう。寡黙、誠実、そんな言葉が合いそうな印象の人。
もちろん本人が演技派なので、どんなタイプの役も演じることができるだろう。
本作のホークは、フリーマンがあまり演じてこなかったタイプのキャラクターだったと言える。
では、ホークとはどんなキャラクターだったのかといえば、陽気でお調子者、当時の白人が考えるステレオタイプの黒人なのだ。
差別や偏見を扱った作品でありながら、作中の黒人像が差別的だというのはなんとも皮肉が効いてる。
90年代くらいまでの作品に登場する黒人キャラクターは、ほとんどこのタイプしかいない。当時はある程度仕方なかったのだろうと思う。観る側に受け入れられる体制ができていなかっただろうから。
事情はなんとなく察しつつも、なんだかなあとは思ってしまう。
それと同時に、人種やジェンダーについて、近年急激に変化していっているのだと感じずにはいられない。一種の映画史の一遍を観た気がした。
下積みが長く主演も一本くらいだった、モーガン・フリーマンが有名にな...
下積みが長く主演も一本くらいだった、モーガン・フリーマンが有名になった今作は1940年代に主要人物2人が老人で登場して1960年代までの長き関係を描く。
人種差別的な部分よりも、2人のやり取りや関係の変化が見物。
奥ゆかしい・・・
公開当初の30数年前は結構な話題作だったように記憶していて、それに乗じて観た覚えはあるんだけど何しろテーマが地味で20代そこそこだった私には残念ながら内容はほとんど印象に残ってませんでした。先日たまたま夜中のTV放映を見つけてチラ見のつもりで観賞したところ・・・なかなか奥ゆかしい作品ですね。
舞台はまだまだ人種差別の色濃いアメリカ南部のジョージア州。その土地柄と時代背景のもと展開するユダヤ系の老婦人と黒人の運転手との心の触れあい。宗教に対する執着と偏見だとか我々日本人には馴染みが薄いけど興味深いテーマが盛り込まれていて今更ながら考えさせられる。
モーガン・フリーマン、いい味出してますね。この4年後に「ショーシャンクの空に」でその存在感を決定的なものにしたのも納得。一方、ブルースブラザーズのダン・エイクロイドは10年の時を経てすっかり角のないおじさんを演じていてその変容ぶりもちょっと見所。
ほとんどの映画って例え一時的にヒットしてもそのうち忘却の彼方に押しやられてしまうんだけど、この作品は派手さはないけれどテーマがしっかりしてて上品に丁寧に創られていいる印象。いつまでも秀作の一本として残っていくんじゃないかなと思った次第です。
癒し系映画
特に大きな事件とかはなく、淡々と白人の老婦人と黒人のお抱え運転手の交流を描いた映画で、心温まる。この当時はたぶん黒人に対してはかなり偏見・差別があったと思うが、老婦人は次第に彼を信頼・信用し、親友のようになっていくところが面白い。
25年の時を経た積み重なる想い出と2人の結ばれた友情を描いた作品❀
白人の老婦人が、黒人に対する差別や偏見が
あったものの、家族、夫の死、
長年、一緒にいた家政婦、大事な人が亡くなったとき、自分の傍らで日頃から温かく接してくれた黒人の運転手に支えられていたことを
改めて思い直す2人の友情のドラマでした。ドライビングは、他の方の感想にある
ように人生のドライブだったことを思いました。
貴方は私のベストフレンド✿
息子に雇われた運転手に巡り会えたこと。
デイジーは幸せな人生を過ごすことが出来たと思いました。
誰にでもある老い、時を経ても
変わらない友情が其処にあると思いました。
永遠のテーマ
この作品がリアルタイムな当時は、
自分は映画にさほど興味も無く、
タイトルだけは知っていた程度。
その後「最強のふたり」「グリーンブック」
を経て、
人種差別て永遠のテーマなんだと、
まざまざと見せつけられてきた。
その原点を見た気がする。
終始首を傾けて話しかける、
和かなモーガンが印象的だった。
素敵な映画でした。
まあまあ面白かったのですが、雇い主と運転手で白人と黒人の心の交流の物語となると、どうしても名作「グリーンブック」と比べてしまい☆3.5となりました。
でもこの作品も、じゅうぶんに素敵な映画でした。
二人の歴史に重ね合わせるかのように、人種の垣根も低くなって…
少し前に、同じように米国史を駆け抜けた
かのような作品
「フォレスト・ガンプ/一期一会」を観て、
同じような意味合いの作品かと思い
1990年のロードショーとTVでの鑑賞も含め
3度目鑑賞をしたが、
こちらの方の背景は「フォレスト…」よりも
少し前の時代のようだ。
この作品もアカデミー作品賞受賞作だが、
同じ作品賞受賞の「フォレスト…」よりは
時代的に身近ではなかった分だけ、
私には少しハンディがあったかも知れない。
さて、作品の冒頭では、
家庭でも職場においても、
支配者は白人、使われるのは黒人であるとの
あからさまな状況が描かれ、
他にも、キリスト教とユダヤ教、
富める者と貧しき者、
等々が対立項目として描かれると共に、
老いの問題も描かれた。
そんな中で、飄々と現実を甘んじて
受け入れているようで、
でも言うべき時は言うという
ホーリーのフラットな感覚が
周囲の状況を変えていくように、
社会的にも、キング牧師の演説に向かって
徐々に人種の垣根が低くなっていく様子
も描かれた。
しかし、そんな時代的な観点というよりも、
二人の心の交流をしっとりと描いた作品
のように思える。
また、ホーク役のモーガン・フリーマンの
“ンッ・フッフッフ”の忍笑いは、
彼の地では無く、演技なのだろうが、
ホークの控えめな生き様と
リンクしているようで、妙に印象的だった。
トムもロビンもおさえてのアカデミー受賞作
ずいぶん前に見たっきりの作品でした。
たぶん映画館のはずだから30年以上前のはずです
あの時のお目当てはダンです
『ゴーストバスターズ』のダン・エイクロイドを見たいと思い映画館へ行ったはず
だって、主役のジェシカ・タンディは見たことのある女優さん(ヒッチコックの『鳥』に出演していましたね)
それからモーガン・フリーマンはまったく知らないお爺さんなのですから
ダンが出てなきゃ完全にスルーしていた作品ですよ
でも、見てよかったですね
この作品のエピソードの一つ一つが、まるで階段を登るようにゆっくりと2人の絆を深めてゆくのです
見終わった今、その一つ一つが愛おしい
出来ればここで一つくらいご紹介しようかと思いましたがそれじゃー初めて見られる方々に失礼ですよね
この作品の奥深さは、まずこの年代とこの土地にありますね
アメリカ南部が舞台で人種差別が許されていた頃の話
そしてMissデイジーもユダヤ系ということです
日本人の私にはあまりピンとこないのがユダヤ系とは?となっちゃいます
知らなくてもじゅうぶん楽しめますし知ってからだともっと深く頷くでしょう
久しぶりにまともなレビューを書けたような気がします。
でわでわ
ベストフレンドになった運転手
モーガンフリーマン扮するホークコ ルバーンは、ジェシカタンディ扮するデイジーワサンの運転手として採用された。しかしデイジーは認めようとはせずつっけんどんにホークをあしらった。
これはコメディなのかな。モーガンフリーマンが上ずった声をしてるもんね。それにデイジーは麻雀をやるんだね。最後にデイジーがホークにベストフレンドだと言ったな。ほのぼのとした展開だったよ。
美しく叙情的
BSにて視聴。
赤毛のアンの世界を思い起こさせる、こじんまりとした家と手入れの行き届いた庭。趣きのある家具と部屋の装飾品。
住まいがその女主人の人柄を表しているようで、まず背景に見入ってしまった。それはどの場面を切り取っても美しい。
物語は叙情的で暖かい。
ジェシカ・タンデイとモーガン・フリーマンの熟年である2人の競演は見応えがある。
モーガン・フリーマンはいつも人間の晩年の姿をしみじみと観せてくれる。
とても気持ちの良い作品なので、もう少し長く見ていたかった。
こつこつと文字を教えて、それをだんだんマスターしてゆく姿などを見たかったなと思う。
聖者の運転
生真面目で頑固な老婦人ミス・デイジー。周りからは煙たがられている。そんな彼女のお抱え運転手となったホーク。朗らかで辛抱強いホークは、彼女の心を少しづつほぐしていく。おたがい年をとった状態で出会ってるので、25年も経てばヨボヨボである。俳優の老けメイクが…。
ホークの思いやりが沁みる。時々言い返したり、きっちり主張したりしてるが、それでもすごく優しい人だと思う。差別を受け、親しい人がリンチされ、辛いことも多かったはず。ミス・デイジーには想像できないくらい。モーガン・フリーマンは、アメリカ版小日向文世な気がするんだけど、いい人も、いい人に見える悪い人もできる。この映画では、裏のない、いい人だ。私も彼にケーキを食べさせてもらいたい。はい、あーん。
BSプレミアムの放送にて。
侍従関係からの友情
黒人差別が当たり前の時代に、白人に仕える黒人ドライバー。
どんなワガママをも、きっちり正論で返す賢さは人間力ですね。
抗ったところで改善されるはずもなく、しっかり意見を言っていつしか信頼される友人に。
そんな人でありたい。
じんわりと心に染み込んでくる情感
誰もが嫌がる頑固な老婦人ミス・デイジーの運転手として雇われたホークの誠実で、分をわきまえた仕事ぶりが、やがて主人の信頼を勝ち取り、最大の親友とまで言われるようになるハート・ウォーミング・ストーリー。
映画としては、これといった派手な事件もなく、淡々と時間が過ぎていきますが、ジェシカ・タンディの頑固ババアで、どこか憎めない愛嬌。モーガン・フリーマンの骨のある実直な仕事人とユーモア。ダン・エイクロイドの母親を思う息子でなおかつしたたかな経営者の顔。
その他にも、当時の人種差別や社会風俗などを巧みに取り入れ、人間の幸せと、尊厳は何かということを静かに語りかけてくれるような映画です。
きっと、若いときに観ていたら「なんて退屈な映画だろう」と、拒絶したと思うんですが、初老をむかえた私にはあまりにハマる内容で、思わず涙ぐむいいお話でした。
午前十時の映画祭12にて。 キャスティング、ストーリー、音楽ともに...
午前十時の映画祭12にて。
キャスティング、ストーリー、音楽ともに文句なし。
主演の二人のやりとりは、表情といい、仕草といいほんとに素晴らしい。ところどころエピソードを挟みながら少しずつ距離が縮まっていく感じが良いですね。人種差別問題にも触れてるし。ダン・アークロイドもいい味出してる。ラストは感動でした。
日常描写に潜む差別とそれを乗り越える信頼の物語
随分以前にテレビで観て、良い映画だったな〜〜と言う印象で
今年の「午前十時の映画祭」の個人的目玉作品でした。
頑固者の元教師のミス・デイジー。
時間軸で考えると60代後半くらいかも〜〜。
アメリカの地方都市の郊外、ちょっとした買い物にも車が欠かせない場所。
運転ミスであわや大怪我に〜〜
そんな母親を心配した繊維会社の社長である息子が差し向けたのは
運転手歴のある苦労人の中年黒人男性のホーク。
ミス・デイジーさん、息子に年寄扱いされたことがまず気に入らない。
いつ出かけるか解らない主人のために運転手は毎日家に通ってくる。
家の中にあまり馴染みの無い男がいる事も気に入らない。
そして元教師だから言葉では
「私は人種差別なんかしてません。」と言いながら
長年、黒人女性をメイドとして雇っていることに
何の疑問も感じていない白人に有りがちな
無意識の差別もうっすらとホノ見える。
ホークの方はと言えば、口うるさいオバサンと
心では思いながらも
何とか仕事を続けたい気持ちから、
ミス・デイジーに気に入られ様と進んで家の仕事をしようとする。
苦労人らしくよく気の付く様子が、
へそ曲がりのミス・デイジーにはそこも何となく
片腹痛くて気に入らない。
そんな2人の20数年に渡るごく日常的な交流の物語を
黒人の公民権運動の盛り上がりを背景に描く本作。
淡々とした内容ながらテンポ良く進む中に
時にクスッと笑い、時に人種差別の根深さにハッとさせられたり
飽きさせない映画でした。
ぜひ、劇場でじっくり観てほしいですね。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
この映画をきっかけにモーガン・フリーマンが大ブレイクするのですが
映画のクレジットが、ジェシカ・タンディーより先なんですよね。
「午前十時の映画祭」の公式プログラムによると
元々、オフ・ブロードウェイの小劇場でロングランしていた
舞台劇であり、その舞台でもモーガン・フリーマンが同じ役を
ずっと演じていたとのことで、映画も当然
モーガン・フリーマンありきで進められたから
クレジットの先頭が彼であるのは当然のことだったんですね。
モーガン・フリーマンとジェシカ・タンディーが注目されるけど
ミス・デイジーの息子ブーリーを演じたダン・エイクロイドも
良い感じだったねえ。
ちょっとは面倒臭そうにするけど、ちゃんと母親を心配して
運転手を雇ってくれたり、金銭的なことにも気を配ってくれたり
母親が電話をかければ、朝早くから駆けつけてくれたり
かなり良い息子だわ。
黒人の公民権運動が盛り上がる時代、
実は白人のミス・デイジーもユダヤ人で、
黒人程では無いにしろ、やはり差別を感じて生きて来て
キング牧師の演説に感銘を受けたりしている。
声高に差別を叫ぶ映画では無いけれど
静かに差別の根深さを訴え、
それを乗り越えるのは、
シンプルに人と人として、知り合い付き合うこと。
「グリーン・ブック」のレビューにも書いたけど
日本にはそれを端的に表す諺がある。
『馬には乗ってみよ、人には添うてみよ』
良い映画でした。
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