ドライビング・MISS・デイジーのレビュー・感想・評価
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老いた男女の長年にわたる友情物語。 ジェシカ・タンディとモーガン・...
老いた男女の長年にわたる友情物語。
ジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの名演を楽しめば良い。
黒人やユダヤ人に対する差別が背景としてあり、奥が深いようだが、あからさまな描写は少ない。その為かやや地味に感じてしまった。
鑑賞後色々調べるとなるほど深い。もっと勉強しとけばよかった。いつもの言い訳、私は世界史選択じゃなかったんです(笑)
真の人間同士の心のふれあいが差別をその根源から消し去るのです
素晴らしい映画に出会えた幸福を感じました
とにかくジェシカ・タンディとモーガン・フリーマンの掛け合いが素晴らしく吹き出しそうなくらいに面白く、そしてやがてホロリとさせられます
この二人の名優の演技は物凄いものがあります
またデイジーの息子役のダン・エイクロイドもいい味をだして名優の域です
人種差別の物語であり、共に皆年老いていく物語でもあります
熱い感動と心が洗われる思いの両方が、快く沸き上がりました
ミスというのは未亡人という意味合いです
ご主人は何年も前に亡くなっていて墓参りに行くシーンもあります
劇中の会話から1876年生まれと分かります
その年生まれには意味があります
その12年後が例の5年生の集合写真なのですが逆に12年前なら南北戦争でのアトランタの戦いの年なのです
そうあの「風と共に去りぬ」のクライマックスの戦いの年です
つまり彼女はそのスカーレット・オハラの娘と同じ年代にあたるのです
彼女の死別した夫と義父はどうやら当地で紡績工場を裸一貫から興したというのですから、もしかしたら南北戦争前はあの風と共に去りぬのようなプランテーションの出身者かも知れません
そしてドイツ系のユダヤ人という設定です
これらの事には意味があり物語が進むに従って明らかになっていきます
そして、もともと学校の先生で細々と気難しい性格のようです
また人の心の痛みとかにも、もともとから無関心な性格でズケズケ物言うタイプだったようでもあります
息子からもかなり嫌がられています
舞台は人種差別の強い南部ジョージア州アトランタ
時は1953年から物語が始まります、彼女は77歳
車を買い換えたりメイドのアデラが死んだ年が1963年、彼女は87歳
キング牧師の夕食会があったのは1966年、彼女90歳
認知症を発症し、ラストの老人ホームは恐らく70年代のことのようです
デイジーは殆ど100歳です
つまり1950年代からの20年に渡る時代の移り変わりが実は描かれているのです
ですから、題名のドライビングとは、単なる車の運転の事だけではなく、彼女の人生のドライブを差しているのです
特に人種差別への彼女の変化について
人種的な偏見を持たないといいつつデイジーは無自覚に差別をしつづけます
やがてホークと打ち解けるようになってきても、表面的なだけで差別は消えてはいません
アラバマ州モビールの親戚の家に行く約500キロ程の一日旅で、道中職務質問する警官はホークに差別的な視線を向けます
ホークはたまらず子供頃のKKK のリンチを見た記憶を話ます
何故彼がそのような話をしだしたのかも彼女は理解出来もしないのです
さらにデイジーにもユダヤ人であることからホークと同様に差別的な視線を向けられていたのにも関わらず、彼女はホークを無自覚に人間扱いしない言動をするのです
毎週通うユダヤ寺院を爆破されて、自分も被差別人種だと気付かされてもなお、ホークには無自覚に差別をしています
それでも次第にキング牧師の夕食会行きたいと思うようになるまでには彼女も意識改革してきますが、ホークを誘うことは全く頭にも浮かばないのです
逆に出席を断った息子にホークを誘ってやれと言われて初めてそれを思い至るのですが、会場に到着間際になって突然一緒に夕食会に出席すればとか言い出すのです
ノーベル平和賞を受賞した地元アトランタの英雄が当地の一流ホテルで名士を集めて夕食会を開いて演説するのです
会場には白人も黒人もみな立派に身なりを整えて集まっているのです
ホークは運転手のみすぼらしい服装です
無自覚な残酷さです
さすがのホークも悪態をついてしまいます
そしてクライマックス
認知症を発症してホークにパニックを鎮めないと病院に入れられると諭され落ち着くシーン
デイジーはホークに今も昔の車に乗っているのかと尋ねます
ホークは今乗っているのは65年型のキャデラックだと答えると、彼女は目が悪いのに運転したら駄目と返します
でも、その表情は黒人がそんないい車に乗っているなんて、という顔です
ホークの顔にもそれを感じとった表情が浮かび諦めています
それでも彼女はあなたは友達よとホークの手を握りしめるのです
そのことでホークは無自覚な差別は表面的には染み付いていて消えないものかもしれないが、長年の心の触れ合う信頼関係は人種を超えて、このように表面的ではない、心の奥底で真の友情を作るのだと知るのです
そして施設に入れられたデイジーの屋敷は売りに出され、結局ホークが買うのです
あのハドソンの車のように
彼の孫娘は大学の先生というそんな時代なのです
デイジーの息子ブーリーは地元でも有力な紡績工場の社長
彼はキング牧師の夕食会にでると商売に差し障りがでるからと母の誘いを断った人物ではあるのですが、本当は差別的ではありません
本作の白人の中で最も平等にホークを扱っているのです
世が世ならプランテーションの大旦那様
彼の工場も50年代は黒人工員達が一人一台づつ操作した機械が、60年代ともなると自動織機にかわり工員の姿も見えません
時代は変わったのです
彼は母親の屋敷を黒人のホークに売ることを、却って嬉しくとても喜んでいます
ホークが高齢で運転ができなくなりタクシーを使ってでも母親を時折お見舞いに来てくれることを心から感謝しています
ホークもその心はしっかりと感じています
だからこそラストシーンでホークは、今もブーリーから週給を貰っていると、呆けたデイジーに調子を合わせてやっているのです
あんなに無自覚に差別をしていたデイジーはホークを嬉しそうに迎え、彼との会話は本当に楽しそうです
そしてホークの差し出すパイのスプーンを子供のような笑顔で二度も口に入れるのです
彼もまた共に年老いた長年の本当の友人となっているのです
そこには人種の壁はどこにも無いのです
本作のテーマは此処に集約されています
無自覚な差別にいちいち目くじらをたてることなく、ホークのように少しは苛立つことがあっても、軽くジョークで受け流していき、彼とデイジーの間のような真の人間同士の心のふれあいこそが差別をその根源から消し去るのです
悪しき人々の過激な言葉や暴力ではなく云々とのキング牧師の演説のとおり、それは差別を逆に増幅するのです
スパイク・リー監督にこそ本作を百回観て欲しいと思いました
彼はどうせ白人監督の作品だろと斬って捨てるでしょうが・・・
老いていくということ
そういえば見たようで見てなかった作品。
最初は心を開かなかった老女が、運転手の優しい心に接していくうちに。
少しずつ心を開いていく過程を、有色人種差別等歴史の過程をさりげなく織り込んでいく所が、いいんじゃないでしょうか。
老女は否定してたけど、お金持ち未亡人あるあるな「つっけんどん」とした態度。嫌味っぽくてナイスです。
雪と停電で一人きりのところに運転手がやってきたときにの老女のセリフ。「you are・・・」。「あなたは友達」。いい訳です。
オスカー主演女優賞・作品賞・脚色賞・メーキャップ賞。25年の過程をメイクで現していくのが素晴らしいです。
実は深い映画
一見、老婦人と初老の黒人運転手との心の交流をハートウォーミングに描いた作品のように感じるかもしれないが、実は人種差別が背景に描かれています。1回観たときは暖かい気持ちになりましたが2回観たときは深く心に突き刺さるものがありました。この映画最後まで重たい雰囲気にさせず、観る側を常に暖かい気持ちにさせながらも上手く人種差別の問題を描いています。すごいいい映画ですのでおすすめです。
最後に胸打たれる
どういう映画かわからずに視聴。最後の10分でこの映画の良さに気づきました。
時代設定としては1950年くらいですね。
最後、デイジーの息子への軽口は最高に笑えた。息子の返しもまたいい。デイジーとホークのやり取り素敵です。いい顔してました。
堅い友情が結ばれていく過程
ホークのウッヒョッヒョみたいな笑い声と、Missデイジーの「お黙り!(don't talk to me!/Hush up!)」が好きです。
ユダヤ系で学識良識分別のあるMissデイジーすら、無意識に黒人差別の風潮がある時代。とはいえ、Missデイジーは使用人だからと言って無駄に荒く使うこともなく自由も与えていて、字を教えたりピンチでは庇ったりと、黒人のホークに1人の人として接しています。息子の嫁とは偉い違い。ホークもそんなMissデイジーの良さを理解し、誠心誠意仕えています。
シャンとして人に頼る事を嫌いしっかりしているだけに、ちょっと素直じゃなくて頑固なMissデイジーにみんなが手を焼く中、諦めずに話しかけて会話の糸口を探し、役に立とうとするホーク。Missデイジーからはしばしばキツめな発言も飛び出しますが、冗談と受け止めて軽口を叩いて返すホークの大きな器が好きです。
Missデイジーはホークを信用し、歳を重ね、長く仕えるホークを息子よりも頼るようになり、最後は25年来の友人となる。2人とも、うわべで付き合わないからうまくいったんですね。
月日を経て心情も老いもどんどん変化していくMissデイジーに対して、ほぼなにも変わらないホークが安心感を与えています。
最高の人生の見つけ方にも通じる、モーガンフリーマンの悟っているような温かみはこの頃からなんですね。
人生のドライブ
頑固な老婦人とお抱え黒人運転手の交流を描き、1989年度のアカデミー賞で作品賞に輝いたヒューマン・ストーリー。
数あるアカデミー作品賞受賞作の中でも非常に好きな一作。
この作風が好きなのだ。
まるで松竹の名作映画を見ているよう。
本当に大きな出来事は何も起こらない。
いや、一応些細な出来事は起こるのだが、日常の一コマの積み重ね。
そんな淡々とした語り口の中で描かれる二人の交流がじんわりと心に染み入る。
頑固なミス・デイジーと陽気なホーク。
最初は悪態ばかりついていたミス・デイジーも、ホークの実直な献身ぶりに徐々に心を開き、主従関係や人種を超え、大切な友となっていく。
加えて、二人のやり取りも軽妙でユーモラス。
言うまでもなく、名優二人の名演が素晴らしいのだ。
頑固で辛口だけど気品が漂うジェシカ・タンディの名演は、アカデミー主演女優は納得…どころか、当然。
舞台でも同役を演じていたモーガン・フリーマンにとってはハマり役。近年の渋い重厚演技とは違う陽気な役柄は今見ると新鮮かも。
ミス・デイジーの親思いの息子役ダン・エイクロイドも好助演。
舞台は1950年代の南部。主人公二人はユダヤ人と黒人。
劇中の警官の台詞でも皮肉られるように、人種問題もさりげなく織り込む。
25年という月日が過ぎていく。
確実にやってくる老いや死。
ボケてもなお覚え、寄り添ってくれる存在。
二人の25年の人生のドライブはかけがえのないものであった。
言葉ではなく、心のやり取り
私はこういう作品が大好きです。
というより、この手の作品がやっと理解できる年齢になったと言った方が良いのかも知れない。
最近の作品で似たような話だと、親子の心の交流を描いた『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』や決して交わることのない階級社会の二人の交流を描いたフランス映画『最強のふたり』、人種差別を描いた『ヘルプ 心がつなぐストーリー』や『それでも夜は明ける』、古くは『明日に向かって撃て!』なんかも自分の中では同じ括りで、どの作品もとても印象に残っているものばかりです。
友情、信頼、絆、理解と尊重、このあたりがテーマであり、自己犠牲がないというのもポイントだ。
自分を大切にしてこそ他人を大切に出来ると思うからだ。
本作の公開当時26歳だった私は、年寄り二人のストーリーに全く興味を示すこともなく、このオスカー作品を今日までスルーしてしまうというなんとも映画ファンとして恥ずかしいことをしてしまった次第である。
しかし又、今このタイミングで出会うからこその感動があるのも確かで、この魅力的な主演二人の心のやり取りがなんとも心地好く私の心に染み込んでくるのだ。
どうにか劇場で観れないものかと思う。
「午前10時の映画祭」あたりで上映されないものだろうか…。
そしたら必ず観に行くのだが…。
ふと見逃していたこういった作品に出会えて、自分というものを見直すきっかけになったり、観る前より少しだけ心が豊かになった気がしたりするのはとても幸せなことだ。
一本の映画を観る。そして観る前とはちょっぴり違った自分になれる。
これも映画鑑賞の楽しみのひとつです。
本作は観た人の心を優しく出来る一本です。
何もない日常の積み重ねの大切さ
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65
本当にほとんど何も起こらない。淡々と日常が過ぎていき、いつのまにか年を重ねる。映画の中ではあっという間に25年も経過してしまう。そしていつしかお互いにその存在が当たり前のように大切になっていた。そのような何気ない日常を長く積み重ねていくからこそ育つ心の触れ合いが、年齢を重ねた人々にとっていかに大切かをうまく描いている作品である。
人種を越えた友情
もともとはブロードウェイの戯曲であった作品を映画でリメイクした作品である。あるアメリカのコミックで黒人の子供がこんなことを言っていた。「白人は”白人に仕える黒人の物語”が大好物だ。だからドライビング Miss デイジーはアカデミー賞を取れたんだ」と。まあ実際そうではある。舞台は1948年の人種差別が根強い時代から始まる。だからミス・デイジーがホークを差別しているかというとそういうわけではない。ホークもまた、白人のミス・デイジーをただの主人ととらえず、割と普通に文句を言う。人種とか云々の話ではなく、彼らは純粋な友人なのである。
とまあ、ここまで堅い話をしてきたが物語そのものは二人の友情の話がメインである。その二人の25年間を面白おかしくありながらも淡々と描いている。もちろん二人の人種間の葛藤にも触れられているが、この映画が最も伝えたいのはあくまで「友情に人種は関係ない」ということだ。だからこそ登場人物も少なく、小規模な空間の中で物語は展開していく。だが時間の流れの表現は非常に凝っていて、ホークが運転する車も時代が変わるにつれて随時に変わっていく。でも、2人の友情は変わらない。最後のシーンは見ている者の涙を確実に誘うはずだ。
(11年5月14日)
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