ドライビング・MISS・デイジーのレビュー・感想・評価
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聖者の運転
生真面目で頑固な老婦人ミス・デイジー。周りからは煙たがられている。そんな彼女のお抱え運転手となったホーク。朗らかで辛抱強いホークは、彼女の心を少しづつほぐしていく。おたがい年をとった状態で出会ってるので、25年も経てばヨボヨボである。俳優の老けメイクが…。
ホークの思いやりが沁みる。時々言い返したり、きっちり主張したりしてるが、それでもすごく優しい人だと思う。差別を受け、親しい人がリンチされ、辛いことも多かったはず。ミス・デイジーには想像できないくらい。モーガン・フリーマンは、アメリカ版小日向文世な気がするんだけど、いい人も、いい人に見える悪い人もできる。この映画では、裏のない、いい人だ。私も彼にケーキを食べさせてもらいたい。はい、あーん。
BSプレミアムの放送にて。
侍従関係からの友情
じんわりと心に染み込んでくる情感
誰もが嫌がる頑固な老婦人ミス・デイジーの運転手として雇われたホークの誠実で、分をわきまえた仕事ぶりが、やがて主人の信頼を勝ち取り、最大の親友とまで言われるようになるハート・ウォーミング・ストーリー。
映画としては、これといった派手な事件もなく、淡々と時間が過ぎていきますが、ジェシカ・タンディの頑固ババアで、どこか憎めない愛嬌。モーガン・フリーマンの骨のある実直な仕事人とユーモア。ダン・エイクロイドの母親を思う息子でなおかつしたたかな経営者の顔。
その他にも、当時の人種差別や社会風俗などを巧みに取り入れ、人間の幸せと、尊厳は何かということを静かに語りかけてくれるような映画です。
きっと、若いときに観ていたら「なんて退屈な映画だろう」と、拒絶したと思うんですが、初老をむかえた私にはあまりにハマる内容で、思わず涙ぐむいいお話でした。
ありがとう、午前十時の映画祭
観ている間は面白くても観終わったらすぐに忘れてしまう映画がある(特に最近多いように思う)。
何年も、何十年も前に一度観たきりなのに、いつまでも脳裏に焼き付いているシーン、胸に響く台詞、耳に残っている音楽、、、忘れられない作品がある。
この映画はまさしく後者で、あの軽やかな旋律のテーマ曲がいつも耳に浮かんでくる。
公開時以来の鑑賞。なんとなんとまたまた音楽ハンス・ジマー。あの耳に残っていたメロディはハンス・ジマーの曲だったんですね。
ドイツ系ユダヤ人の頑固な未亡人と、その息子に雇われた黒人ドライバーの長き年月にわたる交流が淡々と描かれる。
無法松や佐吉のような献身的な愛ではない。
ホークはミス・デイジーに無神経な言葉をかけられれば言い返すし、雇い主である息子にちゃっかり交渉して給料も上げさせる。
主従関係や、人種、宗教を超えてひとりの人間として向き合っている。
大きな事件が起きる訳でもない、悲劇の結末やほっこりしたラストが待っている訳でもない。
老人介護施設で暮らすデイジーを訪ねたホークが、スプーンを取ってパイを食べさせてあげる。
ただそれだけのラストシーンに、なぜか涙が止まらない。
この涙はどういった感情から出てくるのだろう。
悲しくて、嬉しくて、怖くて、可笑しくて、興奮して、、いや違う。
まるで山頂で御来光を仰いだ時に自然と溢れてくる涙のようだ。あのラストのふたりの姿はそれほど神々しいものだった。
今、改めてこの作品を観ることができた幸せ。午前十時の映画祭、ありがとう。
アカデミー主演女優賞を受賞したジェシカ・タンディと、モーガン・フリーマンが素晴らしかったのは言うまでもないが、ダン・エイクロイドがとても良かった。
当時、コメディ作品以外で彼を見たのは初めてだった。
妻と母との板挟みになりながら愛情と理解と優しさに満ちていた。ダン・エイクロイドじゃなかったら、作品の雰囲気が違ってただろう。まさしく好演。
午前十時の映画祭12にて。 キャスティング、ストーリー、音楽ともに...
ゆる介護
終始穏やかな時間が流れていて最後まで幸せなおばあちゃんのお話。それにしてもおばあちゃん役の演技はお見事でした。
ただ、お話はあまりよくなかった。
アトランタで成功した実業家の家でのことであり、もっと恐ろしい現代介護を体験している身としては幸せな部分を切りつないで仕上げたスイーツ的なおとぎ話だなとしみじみ感じました。
plan75の方がグッときたというのは狂ってますかね?
キング牧師の演説に衝撃を受けた。予告編からコメディだと思ったが心暖まる物語。モーガン・フリーマン、今は老人だがこの時もヤッパシ老人。不思議 (?_?)
映画内でのキング牧師の演説より、
「最大の悲劇は悪意ある人の言葉や暴力ではなく、善良な人々の沈黙と無関心だ」 (多少違うかも)
日本公開時(1990)、この映画で初めてキング牧師の演説を聞き、悪意ある差別よりも、善意ある人々の沈黙と無関心が問題だというメッセージに衝撃を受けた。
またジェシカ・タンディもすごいと思った。当時30才の私に「老い」など分かるわけがない。それなのにデイジーの「老い」への戸惑いと哀しみが伝わってきたのはジェシカ・ダンディが上手いからで、まさに名演。ホント俳優には頭が下がる。
午前十時の映画祭12でやるのを知りずっと楽しみにしていた。
今回初めて思った感想が1つ有る。雪の日の朝、デイジーとホークが、亡くなったメイドのいれるコーヒーはもっと美味しかったとしみじみとする場面で、私もしみじみとした。
前はこの場面の記憶がないヽ(´▽`)/
警官はなぜデイジーがユダヤ人だと分かったのか? ずっと謎だった。たぶん名前から推測したのではないかと思われる。
2022/9/13(火) ☀️ city1
. 9/21(木) ☀️ ☁️ city1
日常描写に潜む差別とそれを乗り越える信頼の物語
随分以前にテレビで観て、良い映画だったな〜〜と言う印象で
今年の「午前十時の映画祭」の個人的目玉作品でした。
頑固者の元教師のミス・デイジー。
時間軸で考えると60代後半くらいかも〜〜。
アメリカの地方都市の郊外、ちょっとした買い物にも車が欠かせない場所。
運転ミスであわや大怪我に〜〜
そんな母親を心配した繊維会社の社長である息子が差し向けたのは
運転手歴のある苦労人の中年黒人男性のホーク。
ミス・デイジーさん、息子に年寄扱いされたことがまず気に入らない。
いつ出かけるか解らない主人のために運転手は毎日家に通ってくる。
家の中にあまり馴染みの無い男がいる事も気に入らない。
そして元教師だから言葉では
「私は人種差別なんかしてません。」と言いながら
長年、黒人女性をメイドとして雇っていることに
何の疑問も感じていない白人に有りがちな
無意識の差別もうっすらとホノ見える。
ホークの方はと言えば、口うるさいオバサンと
心では思いながらも
何とか仕事を続けたい気持ちから、
ミス・デイジーに気に入られ様と進んで家の仕事をしようとする。
苦労人らしくよく気の付く様子が、
へそ曲がりのミス・デイジーにはそこも何となく
片腹痛くて気に入らない。
そんな2人の20数年に渡るごく日常的な交流の物語を
黒人の公民権運動の盛り上がりを背景に描く本作。
淡々とした内容ながらテンポ良く進む中に
時にクスッと笑い、時に人種差別の根深さにハッとさせられたり
飽きさせない映画でした。
ぜひ、劇場でじっくり観てほしいですね。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
この映画をきっかけにモーガン・フリーマンが大ブレイクするのですが
映画のクレジットが、ジェシカ・タンディーより先なんですよね。
「午前十時の映画祭」の公式プログラムによると
元々、オフ・ブロードウェイの小劇場でロングランしていた
舞台劇であり、その舞台でもモーガン・フリーマンが同じ役を
ずっと演じていたとのことで、映画も当然
モーガン・フリーマンありきで進められたから
クレジットの先頭が彼であるのは当然のことだったんですね。
モーガン・フリーマンとジェシカ・タンディーが注目されるけど
ミス・デイジーの息子ブーリーを演じたダン・エイクロイドも
良い感じだったねえ。
ちょっとは面倒臭そうにするけど、ちゃんと母親を心配して
運転手を雇ってくれたり、金銭的なことにも気を配ってくれたり
母親が電話をかければ、朝早くから駆けつけてくれたり
かなり良い息子だわ。
黒人の公民権運動が盛り上がる時代、
実は白人のミス・デイジーもユダヤ人で、
黒人程では無いにしろ、やはり差別を感じて生きて来て
キング牧師の演説に感銘を受けたりしている。
声高に差別を叫ぶ映画では無いけれど
静かに差別の根深さを訴え、
それを乗り越えるのは、
シンプルに人と人として、知り合い付き合うこと。
「グリーン・ブック」のレビューにも書いたけど
日本にはそれを端的に表す諺がある。
『馬には乗ってみよ、人には添うてみよ』
良い映画でした。
沈黙する善人の友情に関する小さな物語
午前10時の映画祭にて、公開時以来の鑑賞。
言わずと知れた名作ですが、音楽のクレジットを見て驚いた。ハンス・ジマーだったんですね。マジか?なんか、半分電気的な音楽でボブ・ジェームスみたい。時代だったんですね。
ユダヤ人の老女と、黒人の老人と言う取り合わせ。舞台はジョージア。お隣がアラバマで南に下ればフロリダです。
偏見の強く残る社会世相の中、狭い狭い狭い生活圏で毎日の様に顔を突き合わせ、いつしか友情が芽生えていたと言うだけのシンプルな物語。グリーン・ブックのひな形でもあり、先生でもあり。
何で、これが良いんですかねぇ。
パンプキン・パイを食べさせている姿に、ポロポロしちゃうんでしょうか。
偏見と闘う、なんて勇ましい事は言わず。
「沈黙する善人」であった2人。
でね。今、この、キング牧師の名言の数々は、極めて攻撃的で暴力的なマイノリティにしばしば「悪用」されてます。日本・米国を見る限り、マスメディアにおけるマイノリティは、むしろ中道右翼であり、マジョリティは左翼・極左にあります。数の上ではマジョリティである側が沈黙を続けていて良いんかい?って思わずにはおられない映画でもありました。今、再見するとですけどね。
モノを過剰に言うマイノリティの陰で、依然として「沈黙する善人」は虐げられていると言う現実。成熟したマジョリティは「善人」であると言う時代にあって、きちんとものは言おうよ、って思いました。
良かった。
とっても。
いるいるこんな素敵なおばあちゃん
ミスデイジーは偏見持ってます。
1940年代から1970年代の話らしい。
全然年代わからずみてた。1953年のクリスマスと1960年代のkkkによるシナゴーグ放火はなんとなくわかった。Wikipediaに素晴らしいあらすじが載ってるので後で復習した。
字幕翻訳が戸田奈津子。懐かしい。
パティルポーンが息子ブーリーの妻役で出てる。
現代的なユダヤワイフ面白かった。
多分モーガンフリーマンは50歳前後でこの老け役をやってるはず。
ミスデイジーが1888年に12歳だったとか言ってて、19世紀生まれなん???とびっくりした。アラバマに行った頃だから1950年代。その頃の70代なんだからそらそうなんだけど。1860年代に南北戦争があったんだから、ホークの父は奴隷だったことがある世代、だよね。
20世紀、それも第二次世界大戦以後に、親が奴隷だった人がまだまだいっぱい生きてたっていう実感が今までなくて、ほんとにびっくりした。全然【昔】じゃないんやっていうね。
2022年に午前10時の映画祭にて鑑賞。
別にそこが本筋ではないし、ミスデイジーを一点のシミもない善人とは描いてないけど、ずっとご本人はわたしは偏見なんてありません!てゆうてたやん。そこに引っかかった。
偏見のない人なんていないよ。偏見とは無知による恐れでしょ。無知による恐れを持たない人間なんていない。人間は全知全能じゃないもの。知らないことは怖い。それは避けられないけど、自分が無知であり、そのためいつでも人を傷つけ得るってことを自覚して生きることが、必要でないかい?と思いました。ミスデイジーと自分に。
モーガン・フリーマン
友情はイデオロギーに勝る
前評判もあらすじも全く見ずに映画館で観たせいで
最初は老婆と運転手の淡い恋物語かと穿った目でながめていた。
ところがキング牧師というワードが出てきたあたりで、三文映画とは
一線を画す深いメッセージ性を感じた。ラストで感動しました。
イデオロギーで争うことの哀しさと信頼関係の難しさ。
人種や宗教、肌の色で差別することが何と愚かしくむなしいか。
それを乗り越えた友情、時間をかけた主従の成熟の何と素晴らしいことか。
決して政治宗教は主題ではなく、ピュアなメッセージなんだと思いました。
今どきの映画に比すると淡泊な展開かもしれません。
ですが、静かに引き込まれていく構成なのが却って全体の良さを引き立てている。
音楽も素晴らしかったですが、有名な巨匠だったのですね。
終わった後も余韻に浸ってしまいました。何度も観たい作品です。
それぞれの立場から見えるもの
なんかほのぼのした
【旧癖的な思想のアメリカ社会で生きて来た老婦人が出会った、文盲の温かき心を持つ黒人運転手から学んだ事。何よりも、笑顔を絶やさない運転手ホークを演じた、モーガン・フリーマンの姿が印象的な作品である。】
■1948年、アトランタ。
元教師で未亡人の気品高きデイジー(ジェシカ・タンディ)は、運転中に事故を起こしかけたことがきっかけで、息子プーリー(ダン・エイクロイド)の雇った黒人・ホーク(モーガン・フリーマン)の運転する車を利用することに。
だが自分で車を運転したいデイジーはホークに悪態をついてばかり。
だが、ホークは何時でも微笑みを浮かべつつ、我儘なデイジーに飄々とした態度で接しながら、職務に励んでいる。
◆感想
・黒人運転手と白人の時代的に意図なき人種差別をする老婦人が、お互いの壁を徐々に取り払いつつ、且つ相手を尊崇しながら接し、心を通わせていく姿が、心地よい作品。
・デイジーに対し、”ストレンジ・フルーツ”の話を始めるも、”この人は、そういう事は知らずに育ったのだ・・”と察し、話を止めるホークの姿。
・ジェシカ・タンディ演じるデイジーが、認知症を患い施設に入居するも、具合が良い時には息子プーリーよりもホークと話したがる姿。
<資料を読むと、今作を“綺麗ごと”と切り捨てる論調のコメントもあるが、私は年代的に人種差別を当たり前の事として育った”ユダヤ系”のデイジーの姿を否定する気にはなれないのである。
何よりも、笑顔を絶やさないホークを演じた、モーガン・フリーマンの姿が印象的な作品である。>
名優が演じるとこんなに素晴らしいエンディングが迎えられるのか? と...
名優が演じるとこんなに素晴らしいエンディングが迎えられるのか?
と思えるぐらい自然な演技で、そしてふけ方も3人3様それなりのふさわしいふけ方をしてた。
ラストの施設の場面はぐっと引き寄せられたし、なんか二人の関係がうれしかった。
息子のブーリーもホークから持ちかけられた賃金交渉の場面では差別のしない良い奴というのが伝わってきた。
逆にブーリーがあざとく感じたぐらいだ。
それにしても車といい、家といいローンのようだがあの時代に買える黒人てすごくないのだろうか?
差別があふれていた時代と想像したらローンを組めたのも不思議だ。
それと今でこそ多くの人がなっている認知症、この時代にすでに当たり前のように存在していたのにはびっくりだ。
いずれにしても「いつかもう一度見る映画」に入れておこう。
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