「ラストシーンの応用的解決策は子供の成長の証で清々しいばかりだった」友だちのうちはどこ? KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
ラストシーンの応用的解決策は子供の成長の証で清々しいばかりだった
1993年(キネマ旬報第8位)以来だったが、
NHK放送を機に再鑑賞。
当時のパンフレットを読むと、
キアロスタミ監督は、
この映画についてのメッセージは
特にないと語っているが、
そうでもないだろうと思い、
勝手に想像してみた。
目に付くのは大人側の封建的な意識による
子供世界の支配と、
子供側の他人を想う純心さだ。
ほぼ全編において、大人側からの一方的で
理不尽な要求に対し、
子供の方にも焦りがあり、
未熟な対応から非効率な行動を強いられ
どんどんと状況が悪くなる。
しかしながら、間違って持って帰り、
届けることも出来なかったことに対して、
遅刻してまでも、友だちの宿題分までを
仕上げてノートを返すのは、
一つの成長した応用的解決策でもあり、
本来の人間の純粋な心を
思い出させて清々しいばかりだった。
大人達の数々の封建的な言動は、
多分に彼らが充分な教育を受けられなかった
ためだろうが、
冒頭と最後に学校のシーンを置いたのは、
これからの子供達には
大人世代を超えるべくたくさん学んで、
それを打破して欲しいとの
監督の期待だったのだろうか。
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きりんさんのコメント
2024年12月22日
本当に
映画は人生の先生であり、教室だと思いました。
観終わって、自分が変わるのです。
イランの映画はまことに染みますね。「運動靴と赤い金魚」も大好きな逸品です。