「大人が優しくないんだ。コレが。全く。」友だちのうちはどこ? bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
大人が優しくないんだ。コレが。全く。
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イラン人監督アッバス・キアロスタミによる1987年の作品。トラベラーと同じく少年を主役としながら、トラベラーとは打って変わって、コチラは、とっても良い子の物語り。
これも、明確に傑作と言えます。凄く良いですもん。
アハマッドの放課後数時間の出来事を、83分の短尺に収めますが、ポイントとなる「教師の叱責」「母親との折衝」「祖父からの命令」「老人との徘徊」、更には「アハマッド自身による家探し」は、リアルタイムな時間感覚でジックリと描写します。この自然体な場面の造り込みが効果的です。物語りに引き摺り込まれてしまいますもん。
それと。
画が抜群に良いです。絵画的。時に、遠近の対比を一つの画面に捉え。時に、明暗を対比させながら人物を移動させ。目当てのムハマッドを見つけたかと見せ掛けながら、少年の顔を隠し続ける演出も取り混ぜ。
日仏の影響を強く感じる、映画の手法。悪知恵とも言えなくは無い少年の機転に、止めが親切ながら役立たずだった老人がくれた花だと言う。
気の利いた、非英語圏の短編小説の様な映画は、キアロスタミが後にパルムドールを取る事を予感させるに十分な、密度のある小品でした。
邦画界の若手には、爪の垢を煎じて飲め、って言いたくなりますが。偉そうに言うと。
そんくらい。
良かった。とっても。
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