「空想と回想の物語」トト・ザ・ヒーロー みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
空想と回想の物語
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今までの人生は、何もないつまらない人生だったと悲痛に想っているトマ老人の何と愚かなことよ。
産院で取り違えられたと信じるトマ少年の、その後の数奇な運命の物語かと思ったら話は意外に単純だったように思う。
結局、トマはいくつになっても少年のままで成長はしていなかったのでは。
その原因は、トマが深愛していた姉のアリスにある。
自分の一言で彼女を死なせてしまったことが、今も重い十字架となって背中に背負わされているのかもしれない。
またトマの天敵とも言えるアルフレッドも同じだ。二人ともいつまで経ってもウジウジした態度で煮え切らない。
挿入歌のシャルル・トレネの「ブン」がやたら明るく楽しげな曲だっただけに、本作の悲劇性がより一層際立っていたように思う。
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