「シン・仮面ライダーを楽しみにしている特撮ファンは、つまらなくても本作を観ておく必要があると思う」ドクター・モローの島 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
シン・仮面ライダーを楽しみにしている特撮ファンは、つまらなくても本作を観ておく必要があると思う
原作はH・G・ウェルズの「モロー博士の島」
映画としては面白くない
終盤までは睡魔が襲う
特撮というほどのものはなにもない
獣人の特殊メイクもしけたもので、猿の惑星の感嘆するようなものではない
本物の猛獣と獣人が闘うスタントシーンがある
確かに凄いが、迫力はない
カメラもよくない
良いとこ星2つだ
だが、つまらない映画で斬って捨てる訳にいかないポイントが二つある
一つ目はジュラシックパークの元ネタということ
もちろんそれはマイケル・クライトンの原作小説を映画化したものだが、その元ネタは本作の原作、H・G・ウェルズのモロー博士の島であるのはSFファン、特撮ファンなら気付くはず
博士が造るのが、獣人か恐竜かの違いだけに過ぎないのだ
ジュラシックパークのハモンド博士はリチャード・アッテンボローが演じたのだが、そのビジュアルは、本作のバート・ランカスターが演じたモロー博士に似せてあることにお気付きだろうか?
本作でのモロー博士の屋敷のゲートと、ジュラシックパークのゲートは、縦開きと横開きの違いはあるが大きなビジュアルのアクセントになっている装置であることにもお気付きだろうか?
つまり、スピルバーグのジュラシックパークの映画もまた、本作が元ネタなのだ
そして二つ目は、仮面ライダーだ
原作では、獣をベースに人間の染色体と融合させて獣人を作っているが、本作では終盤に、主人公が獣人に改造されてしまう
そのシーンはまるで仮面ライダーで、改造人間が造られる手術の様子を思わせる
モロー博士が、獣人を訓練し、組織化して世界征服に乗り出したら、それはショッカーそのものだ
本作は1977年の公開だから、日本の仮面ライダーの方が6年も早いから時系列が逆?
そうではなく、石ノ森章太郎の仮面ライダーの原作もH・G・ウェルズのモロー博士の島が元ネタというか、発想の由来であったのかも知れないという意味だ
つまらない映画だが、本作では改造人間にされてしまった悲哀が、初めて実感できるものとして表現出来ていたと思う
シン・仮面ライダーが、庵野監督の手で製作されるという
庵野監督だから、本作も当然観ているのは間違いないだろう
このようなことも、庵野監督なら百も承知しているはずで、それを踏まえて構想を練られていることと思う
だから、シン・仮面ライダーを楽しみにしている特撮ファンは、つまらなくても本作を観ておく必要があると思う
それ故に、星を一つオマケせざるを得ないのだ