「涙、涙。」トゥルーマン・ショー まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
涙、涙。
昔、若い頃に観たのですが、久しぶりに鑑賞。いや〜〜とても良かったです。素晴らしかった。恐ろしいと思うのと同時に、この世界は、人間という生き物はなんて尊いのだろうと感じました。
恋に「落ちる」とはよく言ったもので、人為的に操作出来なかったトゥルーマンの恋心。まだ見ぬ世界を見たい、知りたい、自由でいたいという、人間であれば誰しもが持つ根源的な欲求を否定される姿を見るのは辛かった。人間でいることを許されないのは、とても残酷なことだ。
確かに、現実の世界は危険がいっぱい。
いつ死ぬかわからない、どんな目に遭うか、悲しいことや辛いことがいつ襲ってくるか分からない。みんな未来の不安にお金を払って保険に入る。トゥルーマンの仕事が保険屋なのはメッセージ的だ。でも、彼は身の危険を犯してでも、その厳しい現実の世界の荒波に漕ぎ出す。
ドラマの指揮をとるエドハリスが、トゥルーマンにまるで神のごとく次々と試練を与える。嵐を起こして、もしやトゥルーマンが死んでしまうのではないか…と視聴者たちは固唾を飲んで見守る。命が危険に晒される程の困難に立ち向かうシーンは感動的だ。
やっと空の端っこに辿り着き(舞台セット)、エドハリスが今度は親のように温かい声で誘惑する。外の世界は怖いよ?元の世界へ戻っておいで?と。
しかしトゥルーマンは勇気を出して、ニッコリ笑顔で言うのだ。
「また次会えない時のために、こんにちは、こんばんは、そしておやすみなさい」
また次会える保証なんて、どこにも無いのだ。私の平凡で退屈で自由なこの日常が、唐突に幕を下ろすかもしれないのだ。この世界への愛着を強く思い知らされる。
トゥルーマンは無事、作り物の世界から脱出する。
エドハリスのセリフで、作り物の虚構の世界にこそ真実があるのだと、だから皆んなが見るのだというのがある。これもまた一つの真実と思う。作り物のセットの空に階段があって、トゥルーマンがゆっくりと一段ずつ昇っていくシーンはとても美しかったです。
ジムキャリーは、なんていうか目がくりくりしてて可愛らしいですね。子どもみたいなピュアな雰囲気が、役柄によく合っていました。ココアを手にして急にCMする奥さんが一番怖かったわ笑 アレを突然やられたら、自分もテレビショーに出演しているかも⁈と気付けますね。親友が良心の呵責に耐えられずバラすんかなとヒヤヒヤしましたが、そんなつまらない展開にはしなかったですね。親友やトラウマが仕込みだと知ったら死にたくなりますねー、いやいやホント、怖い番組だわ。
