「浅はかで、怠惰で、傲慢な世界」トゥルーマン・ショー Roy60Jinさんの映画レビュー(感想・評価)
浅はかで、怠惰で、傲慢な世界
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平凡な日常のある朝に、空から謎の小物体が、自分の近くに落ちてきた。その後、自分は監視されている感じや死んだはずの父が路上を歩いているのを見かけるなど、違和感が渦巻くようになる。
何の前知識もなく見始めたら、最初は主人公が認知症でも発症してきているのかと思ってしまったが、そうではなかった。
むしろ、人間の欲や浅はかさを痛烈に皮肉にした映画だと思った。虚構に完璧な現実を再現することが無理なのに、それを貫ぬき通そうとする浅はかさと、それでも虚構に現実では得難い刺激や安寧(実際には様々な可能性があるはずなのに)を求める怠惰で傲慢な欲。それらが作り出す歪な世界に吐き気さえ感じるところを、ミステリー→種明かし→ハプニングという物語の流れを作って娯楽化に成功しており、これまた皮肉だなと思えてならない。
結局、ちゃんと理解しようと思い、もう一度頭から見てみると、シーンの細かいところでの役者の表情や視線の意味が理解できて、二度目もいろいろ発見のある映画でした。
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