劇場公開日 1998年11月14日

「某国の現状と重なって見えてしまい…」トゥルーマン・ショー KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0某国の現状と重なって見えてしまい…

2022年1月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

24年前のロードショー以来だったが、
過去の鑑賞では、
己の人生は自らの意志で導いたものか、
或いは他人の意志に導かれているものに
過ぎないのか、との観点で
この映画を捉えていたような記憶だが、
改めて観てみて、
情報操作や監視社会が問題視される今だから
こそ価値ある作品かもしれないと感じた。

某国に置き換えて観てみると、
多数少数の点では逆だが、
トゥルーマンはその国の国民の象徴、
番組スタッフやエキストラは国家指導部、
TV視聴者は経済発展だけに目を向けて
体制に甘んじてる国民を彷彿させ、
そして、トゥルーマンに真実を伝えた
女子大生は情報操作や監視社会の問題に
声を上げて追放処分された知識人、
といったところだろうか。

「私の世界なら君は安心だ」との
トゥルーマンへのプロデューサーの語りかけ
は某国の指導者の心内そのものに思える。

映画ではたった一人でもトゥルーマンは
最後に歪んだ社会から逃れるべく行動した。
圧倒的多数の某国の民は、
情報操作・監視社会から脱却すべく
行動出来るだろうか。
私は33年前の事件で立ち上がった若者達の
民主化へのエネルギーがまだ残っていると
信じたいのだが。

KENZO一級建築士事務所