「何て贅沢なミスディレクション。」12モンキーズ アルさんの映画レビュー(感想・評価)
何て贅沢なミスディレクション。
ブラッド・ピットの圧倒的な演技力に、冒頭からいきなり全部持っていかれる。アカデミー助演男優賞の怪演は必見。
タイムループを度々繰り返すので、何が本当なのか、何が現実なのか、数多の伏線もあり、なかなか頭の整理がつかない。
四半世紀近い昔にパンデミックを題材に、パニック映画にせず、まさかのサスペンス映画に。新型コロナを予言したかと思うくらいの設定と、その世界観に驚かされる。
未来(という現在)を救う為に、過去に挑むのだが、未来を変えるのが目的ではないのが秀逸。ドラゴンボールのトランクスに近いタイムループ。設定は非常に興味深いが、2035年の地下世界、地上の描写、もう少し時間をかけても良かった。未来での危機が希薄かつ独特過ぎてしまったか。
違和感と不安を煽る音楽、演出は素晴らしく、そこにルイ・アームストロングの名曲が、最後に沁み入る懐古的な感覚はとても心地良い。
ラスト30分には賛否分かれているが、現実はリセットは出来ない。思い込みの怖さ、各々が持つ正義と常識、
考えさせられるラストのワンシーン。スッキリするエンディングではないので、ハッピーエンドに期待はせずに。
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