「ヒッチコック作品へのオマージュ」12モンキーズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒッチコック作品へのオマージュ
なんて美味しい空気なんだ。ルイ・アームストロングの「What A Wonderful World」が劇中でも聴かれ、ラストで締めくくってましたが、もっと記憶に残るのがポール・ブアックマスターの「Sleepwalk」でした。もう記憶が無くなるくらいに、また夢遊病者のごとく彷徨うブルース・ウィリスの雰囲気を表してました。
また、ヒッチコックをかなりオマージュしてたというか、レイトショーの映画館ではそのままヒッチコック特集をやっていたようです。『鳥』とか『めまい』とか・・・あ、このシーンは覚えてない!なんて洒落ています。ネットで調べてみると、撮影もめまいっぽい光線があったりするらしいです。そしてヒッチコック監督お得意の“マクガフィン”ですが、もう12モンキーズそのものがマクガフィンであったかのように、終盤の展開には驚かされるのです。
本来はタイムトラベルものとして捉えるべきが、色んな小ネタを散りばめてあるために、全てがブルース・ウィリスの妄想とも思えるストーリー自体の謎も考えられる奥深さ(ただし、妄想と仮定するとライリーもそうなる)。空港での銃殺シーンを何度も夢見るウィリス。ブロンドねーちゃんがそのままブルネットヘアーのキャサリン・ライリーなんじゃないか!とも途中で気づくのですが、倒れたロン毛の男はわからないまま。こうして秀逸なラストに繋がっていくのです。
今回見た字幕版は誰の翻訳だかわかりませんが、細菌とウイルスという訳語が混在してますが、コロナのおかげで違いははっきりわかるのでウイルスに統一してもらいたかったです。まぁ目に見えないという点では同じなんですけどね。
ストーリーはすごくいいし、タイムトラベルする度に記憶喪失気味になるところは上手いし、同じ時間・場所にホセが登場するのもいい。ただ、未来の研究所がとてもチープなために未来感が湧きません。これもヒッチコック作品に似せるための意図的なセットなら肯けるのですが、象とかキリンとかに街を歩かせたりして、予算をそっちに持っていかれたのでは?という疑問が・・・ドン・キホーテの失敗に通じます。
やっぱり、ゴールデングローブで賞も獲っているブラッド・ピットがピカイチ。精神病を患ってる男や12モンキーズのリーダーだったりする演技は最高でした。結局、未来は変えることができたのか?何度繰り返してもブラピは失敗する気もします・・・