「世代を超えて無限の彼方へ!」トイ・ストーリー movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
世代を超えて無限の彼方へ!
トイストーリーのシリーズをオンタイムで観ながら大人になった。まさにアンディ世代で、3では大学生になっていた。4では育児をしている。
4を観た後、子供に見せるべく1を子供と一緒に見直した。世代を越えた!子供とこの作品を共有できて本当に幸せ。
4を観てからだと、子供の頃には気になるシーンではなかったのに、ボーが25年近く前から一途にウッディを想ってきた事がわかり、衝撃。そして、ウッディ以上に本質が見えているボー。当時から積極的だったんだなぁ、聡明な女性に行動力がついて、4に至ったのか。
ボーがウッディに、ベッドの下で待ってるわ、と声を掛けたり、クリスマスにはウッディの顔中にキスしていたりと、子供が見る映画にこんなシーンが含まれていた事に、子供の頃は全く気付かずにいた。
ウッディはリーダーシップばかりが記憶に残っていたが、1の頃からずっと、アンディのお気に入りから外れることを恐れている。
それで、新入りのバズを殺めようとしたり、1ではまだ発想が若くて未熟。でも、焼きもちを焼いたりカッとなったり失敗を隠そうとしたり、とても人間味がある。
そういえば、無知でちょっとおバカで幼いけど邪心がないレックスが昔から好きな理由は、1でウッディってなんか意地悪なところがある、バズって独りよがり、って思ったからな事を20年ぶりに思い出した。
一方バズは、1で、自分が何者かを知り、宇宙で戦う超人ではなく、量産されたおもちゃに過ぎないという事実を受け入れる作業をする。
人間でも、大人になるうちに、所詮自分はそんなもんという等身大の生まれ持った背景や育ちや無力さに気付き痛感し受け入れる瞬間はある。それでも、友情を信じ、一度知って傷付いた不可能をもう一度信じ、無限の彼方へと諦めないバズからは、大人になって観て勇気を貰った。
子供の頃は、なんか抜けててKYで、偉そうなのになぜかうまくいくキャラと見ていたが、バズが葛藤を乗り越えて、無力を自覚後も、言動で何度も傷付けてきたウッディのために立ち向かう姿勢はとてもカッコよくて、素晴らしい。
常に一軍でないポテトヘッドやレックスなどのおもちゃ達は、主役級でない自分を受け入れながら、お互いを思いやって暮らしていて、いざという時に長所短所がそれぞれありながらも団結する。すごいチーム。
当時、顔のパーツが福笑いみたいになるだけでポテトヘッドにも大笑いしていたなぁ。バネのおもちゃや怖いはずのレックスが恐がりだったり、キャラクター設定が本当に秀逸。
子供の頃はそれぞれのユニークな習性を楽しんでいたけれど、大人になるとアンディの家のおもちゃ達はコミュニケーション力に富み、人間性(おもちゃ性?)も備わった超優秀集団と気付く。それはなぜかってアンディに大切に扱われているからこそ、自分を大切に、相手も大切にする健全な心を持ち、友達に囲まれているから。
でも、強烈なホラー少年シドがおもちゃ部屋に持ち込み、人体実験のように扱われたおもちゃ達も、一見ビジュアルが怖すぎて悪役かに見えるけど、本当はウッディを助けたりバズの取れた腕を治してくれる優しさがあって。
不自由な部位があるからと言って心もそうとは限らないと、偏見を持つ愚かさも教えてくれている。
きっとシドの部屋のおもちゃ達は、身も心も傷付けられてもっと大切にされたかった悲しみを癒しあいながら、再び誰かの役に立ちたいという気持ちを取り戻して過ごしているのだろう。
それにしてもシド、興味の方向性が本当に怖すぎ。
いつか事件を起こすに違いない。
アンディ家、引っ越して大正解。
旧友か新入りかにかまわず、バズ殺しを企んだウッディを簡単には許さんと引っ越しのトラックから突き放そうとする仲間達も良かったな。
喧嘩を経て、鼻に付くお互いを認め合い、ウッディはバズに羨ましさを吐露して謝罪、バズはおもちゃにすぎない自己をなんとか受け入れ、ウッディとも強い友情関係が産まれる。2人で引っ越し中のアンディの車中に戻れるようピンチを何度も助け合って脱して、ロケットをつけてバズとウッディで飛ぶシーンは子供の心にも非常に残った模様。
今回の私のように、子供が大人になって時も、孫と見て欲しいなと思った。こんな風に感じられる作品はなかなかないのではないだろうか。名作。