デッドマン・ウォーキングのレビュー・感想・評価
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当然の帰結。もっと衝撃的な展開かと思ったが…ある意味こちらの方がよ...
当然の帰結。もっと衝撃的な展開かと思ったが…ある意味こちらの方がより衝撃的。
死刑制度の是非。赦しのための宗教。
シスター、死刑囚、被害者、家族、それぞれの視点がとてもリアル。深く考えさせられる。
最後の死刑制度反対!みたいなセリフだけがやや余計だった気がする。
名優2人の競演もお見事、ティム・ロビンス監督恐るべしってところか。
原作からすると死刑廃止論的内容なのだろうが、映画としては果たして…
この映画は、1996年度キネマ旬報ベストテン
においていずれも話題作の
「イル・ポスティーヌ」
「ユリシーズの瞳」
「アンダーグラウンド」
「ファーゴ」
に次いで見事第5位に選出された作品だが、
テレビ放映を機に再鑑賞した。
日本は先進諸国の中では
数少ない死刑制度を持つ国として
何かと国際的な批判を受けているが、
私的にもなかなか結論の出ないテーマ。
そんな中、その問題への主人公の思索を
しっかりと描いた内容に
魅入られるようにこの作品を鑑賞した。
映画の最終版で、
尼僧の「助け合えば憎しみから抜け出せる」
との言葉に、
被害者の父親は「どうかな、そうは思えん」
との返答にも関わらず、
二人が融和を得たような
教会で共に祈るシーンで終えた。
私は遠藤周作が好きで、
彼の“同伴”と語られる
寄り添うキリスト像に共感を覚えるが、
ただ、小説で語られる“同伴”は
弱い人々へのそれであり、
悪い人々への“同伴”との印象は
あまり無いように感じている。
この映画で描かれる犯罪は
余りにも残酷過ぎて、
とても正視に耐えられるものではないが、
死刑直前、犯人は遺族への謝罪を行い、
尼僧はキリストのように、
処刑に臨む彼に“同伴”した。
原作からすると、この映画は
本来は死刑廃止論的作品なのだろうが、
一方では、そうでは無い如くに、
処刑と交互に描かれる酷過ぎる犯行シーン、
また、ガラスに映る亡くなった
被害者二人の顔の描写もあり、
果たしてティム・ロビンス監督の真意は
どうだったのだろうか。
死とは何か
死刑囚の死刑執行、それは、我が国でも日常としてある。
が、当事者(死刑囚、遺族含めて)はごく少数で、その心情に
思いを馳せることは、通常ほぼないが、こういう映画を見るたびに
考えさせられる。
人の人生って、死って、明確には答えられない。一人一人みんな違うから。
自分はどちらかと言えば死刑廃止論者ではないが、死刑が抑止になるとも
思えない。改心とは、償いとは、明確な答えはない。
私ごとだが、80代の父が最近、亡くなったが、認知症で話すこともできず、
面会に行っても、呼吸が苦しそうな時もあった。
それは誰にも伝えられない苦しみって。想像するだけでも怖い。
実際の死刑執行の方が、むしろ楽に死ねるなと思った。
ショーンペンは、演技はうまい、本物に見える。
問いかけてくるもの
胸に深く突き刺さる傑作。私は、涙なしにはこの作品を観ることはできない。折に触れみている。
95年制作。
合法的殺人、死刑。非合法殺人との対比。
死刑制度の是非を真正面から問いかける。
目には目を、歯には歯を。古代エジプト、メソポタミア文明時代、バビロニアを統治したハンムラビ王が制定したとされる、ハンムラビ法典にその言葉が記されている。罪刑法定主義の原点とされている。
物語はシスターと死刑囚の対話、心的交流を軸に残虐な犯罪で殺される命と、死刑という制度で殺される命。死、ということだけをとれば、それは殺人と変わらず合法か非合法か、という違いがあるだけではないだろうか、と静かに問いかけているように私は捉えている。
殺人を犯した死刑囚マシューと、その精神的支柱になろうとするシスターヘレン。
マシューの育ってきた環境、無惨、残虐に殺された若い命、彼らの遺族との対比。残酷な犯罪の描写もフラッシュバックで描写されている。
どんな残虐な犯罪を犯し人命を奪った人間にとっても死刑は制度的合法殺人であり、ならば命をもってそれは償いになるのか。
被害者家族は、それで心に安寧を得ることができるのか。
しかし、私が上記のように述べてきたのも結局、安全地帯からの言葉であり、自分の家族や大切な人達が殺された、となれば冷静でいられるはずがない。
犯人にも同じ思いを、と感じるに違いない。
まさに目は目を、歯には歯を、の精神状態におちいるだろう。
いつ自らが加害者、被害者になるかだってわからない…。
監督名優ティムロビンス
シスター演じるはスーザンサランドン、この演技でアカデミー受賞。死刑囚マシューのショーンペン。この人の演技にはいつも圧倒される。2人の圧巻の演技。
撮影監督ロジャーディーキンス。ショーシャンクの空に、でも壁、ガラスに隔てられた2つの世界、刑務所の壮大な空撮など圧巻の撮影で魅せる。
今作も隔てられた向こうとこちらの世界、ガラスに隔てられた壁、俳優のアップ、ロング、心情を捉えるなど見事な撮影。
現在、先進国で死刑制度がある国は日本と数少ない国々らしい。
アメリカは連邦国家であり、州ごとに法律も違うという。
物語終盤、死刑囚マシューは死を受け入れ遺族に謝罪の言葉を述べ、死んでいく。
シスターヘレンの粘り強い対話の精神で、死を前にして罪を受け入れる。
多くの洋画と同様、今作にもキリスト教の概念、聖書の言葉が多く出てくる、心の支えともなる信仰とは何か、も訴えている。
ラストは心を揺さぶられ、とても冷静にはみていられなくなる。涙が滲む、
現代日本でも、残酷な犯罪があり、人命を奪う人間と無念にも奪われてしまう人がいる。
死刑制度があったとしても、果たしてそれが犯罪抑止につながっているのだろうか。
センシティブなテーマだが、音楽が良い。
ラストに流れるブルーススプリングスティンの歌も静かな余韻を残す。
デッドマンウォーキング、死刑囚が行くぞ、という意味らしい。
多くの方にみていただきたい作品です。
私には無責任ではあるが、正しい答えはわからない。
遺族の敵になるしんどい仕事
中立系でした
赦しと愛
世界中の死刑囚が救いを求め憎しみから解き放たれて逝けるのならば本望か、それで誰が救われるのか、清々しく思われるシスターの表情、最後に懺悔の如く徹底した悪を貫かないマシューだが、真実が描かれる映像に心が清らかになろうが同情の余地はない。
死刑廃止論の立場を中心に描かれながらも加害者家族にも寄り添い、被害者家族側と死刑賛成派の意見も取り入れて、どちらかに偏ることはなく僧侶と死刑囚二人が対する静かな時間が死を迎える迄。
残酷な殺人犯でありながら小狡い小悪党でしかない惨めな男を演じたショーン・ペン、全てを受け入れ心を開いた最後の姿でさえ薄情で狡賢い一面を想像してしまう、そんな役柄を演じるショーン・ペンが大好物な自分。
ショーン・ペンの知名度
アメリカでは演技派として既に地位を確立していたショーン・ペンだが、
日本では、この作品でショーン・ペンを知ったという人も多いのでは?
この作品でアカデミー主演男優賞にもノミネートされて、
日本でも知名度が上がった作品。
結構重いテーマだが、結構観やすい作り。
でも、やはりラストの「デッドマン・ウォーキング」
のシーンは観るのは辛いです・・・(T_T)
シスターの愛の深さに感動
ショーン・ペン!
何度見てもショーン・ペンが素晴らしい!
死が刻一刻と迫る死刑囚を見事に演じきってると素人ながらに思う。
親になって久しぶりに観たけど、
マシューは憎い。
それは親になる前よりもリアルな感情で憎かった。
マシューと言う人間自体は
愚かで幼くてどうしようもない馬鹿に
代わりはないけど、
それでも被害者遺族が言うような動物ではなく、
彼も人間であると言う事に複雑な気持ちになった。
やはり自分被害者遺族になると、
死刑にしてほしいとは思うと思う。
だけど、コイツはクズだからと切り捨てるだけではなく1人の人間の死を受け止めないといけないのではないのだろうか?と考えさせられた。
死刑執行前の家族の集まりは、
あんなの見せるのはずっこいわ。と思いました。
とても良いシーンでした。
難しい問題・・
娯楽作品ではない。心して見よ!
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