つばさのレビュー・感想・評価
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久しぶりに見る無声映画。第一回アカデミー作品賞に相応しい、見事な映...
久しぶりに見る無声映画。第一回アカデミー作品賞に相応しい、見事な映画だった。これだけの戦闘機シーンが実写とは、驚きとしか言いようがたない。ストーリーもテンポよく、ユーモアもあり、ただの友情物語ではなく、反戦のメッセージも伝わってくる。数分しか出ていないゲイリー・クーパーも存在感があり、素敵だった。
すべての空中戦映画の始祖
リュミエール作品群から、現代までの映画史を追体験しようと、キネ旬ベストテン第1回(1924年)から2020年まで96年分のリストを用意した。
さて、意気揚々と「見るぞ〜」と大正時代の視聴可能な作品を探してみたものの、ほとんどが見つからない。せいぜい、過去に視聴済みのチャップリンや西部劇もの程度だ。
CD・DVD販売店やショッピングモールの催事スペースに古い白黒映画が廉価で並んでいたのは2000年前後の頃であったか?すでにふた昔が経過していたのか(苦笑)
そんな中、比較的入手しやすかったのが第1回アカデミー賞最優秀作品受賞の本作だ。(昭和2年になってしまうが)
無声映画だから飽きずに観られるかな?と不安だったが、まったくの杞憂であった!
米国の庶民的な若者である主人公と、隣家の幼馴染であるヒロイン。都会から越してきた美しい令嬢と、街の有力者の息子。
第一次世界大戦を背景としながら、4人の若者達のラブロマンスは誤解や感情のすれ違いに翻弄され、複雑に絡み合う。
2人の青年は共に航空隊の厳しい訓練を経て友情を培い、フランス戦線では名コンビとして戦闘機乗りの名を上げていく。
100年前の作品であるが、若者達の心理と行動は、現在と寸分も変わらない。我が子とその親友達を見守る思いで、作品に没入して鑑賞する事が出来た。(シリアスな脚本の中ヒロインのシーンだけが常にコミカル調だが、これは当時ハリウッドがクララ・ボウに求めていたイメージがお色気コメディ女優なので致し方ないところなのだろう)
特筆すべきは、迫力のありすぎるリアルな空中戦だ。もちろん特撮などではない。
第一次世界大戦時(1914〜1918)の戦闘機乗り達が実際に戦闘シーンを演じているのだ。しかも原作者、監督、主人公と親友役までも大戦時の実戦パイロットだ。
当時、非常に高価だった21台のカメラが使われ、主役級の2人はスタントマンを使う事なく自分達で飛行機を始動し、手回し式のカメラを自分で回している。
(撮影時、死傷者も出たと聞く)
第一次世界大戦にて航空機の活躍は、男子の憧れの的となり、航空技術の研究は目覚ましく進んだ。本作公開と同年、リンドバーグが大西洋横断に成功している。
ハリウッドでは、いかにして迫力と魅力溢れる空中戦を撮るかの模索が続いた。本作は当時の技術の粋と数多くの試みが詰め込まれた一大傑作である。
本作はのちの空中戦作品すべての手本となり、その影響はスターウォーズまでも続く。80年代後半のトップガン辺りまでくると、制作スタッフが視聴していたかはわからないが、それでも当然、本作の影響を色濃く受け継いだ航空映画作品達に学んでいる事は間違いない。
すべての空中戦映画作品は、本作「つばさ(wings)の子供、孫、ひ孫だと言えよう。
つまり「つばさ」は空中戦映画大作の始祖なのである。
現代の映画水準に照らせば「ありきたり」になってしまうだろうが「すべてはここから始まった」のだからそれも当然だ。
現代との比較として星1つ差し引いておくが、この時代に視聴したならば間違いなく星5である。
第一回アカデミー賞作品
1927年、昭和2年の作品と思いながら見ると素晴らしいなと
主人公の青年は現代人ぽい顔立ちで違和感なく見れます
トーキー映画ながら戦争の切なさを感じられます
クラシック映画はわかりやすくて良いですね〜
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