つばさ

劇場公開日:

解説

長距離飛行の流行、航空熱の旺盛なるに鑑みて製作された空中戦映画でアメリカ陸軍省の後援を得てパラマウント社が完成した特作品である。ジョン・モンク・ソーンダース氏作の物語をホープ・ロアリング女史とルイス・D・ライトン氏が脚色し、「女心を誰か知る」「猫の寝巻」と同じくウィリアム・A・ウェルマン氏が監督したもの。主演俳優は「フラ」「あれ」「人罠」等出演のクララ・ボウ嬢、「青春の喜び」「デパート娘大学」等出演のチャールズ・バディー・ロジャース氏、「ブラッド・シップ」「オール持つ手に」出演のリチャード・アーレン氏及び「飛脚カンター」「田吾作ロイド一番槍」等出演のジョビナ・ラルストン嬢で、エル・ブレンデル氏、アルレット・マルシャル嬢、ゲイリー・クーパー氏、ヘンリー・B・ウォルソール氏等が助演している。因みに本映画の原作者並びに監督者は共に欧州大戦に飛行士として従軍した勇士である。

1927年製作/アメリカ
原題:Wings
配給:パラマウント支社
劇場公開日:1928年3月

ストーリー

アメリカのある小さい町に生れたジャック・ポウエルは性来飛行機が好きで飛行家になることを夢みていた。彼の家の隣りに住むメリー・プレストンというお転婆娘は深くジャックを愛していたが、彼はそれに気付かず都から来たシルヴィア・ルウィスという娘に想いを寄せていた。ところがシルヴィアはまたジャックを愛せずこの町の素封家の息子デイヴィッド・アームストロングと恋し合っていたのである。かくて1917年アメリカが欧洲大戦に参加するに及びジャックとデイヴィッドは共に飛行士たるべく志願した。故郷を去るに望み2人共シルヴィアに訣別に行ったがジャックは彼女がデイヴィッドに与うべく用意した寫真入れを自分が貰えるものと感違いして一人決めで貰って了つた。2人は飛行士たるに必要な巌格な訓練を受けた。そして見習飛行士となる頃には恋仇の2人は無二の親友となっていた。やがて2人は一人前の飛行士となりフランス戦地へ出征した。2人は初陣の早朝偵察飛行に敵と空中戦を演じて以来早くも敵の心膽を寒からしむる空の勇者となった。ある時は敵の爆撃機ゴータをジャックが屠り、デイヴィッドはゴータ護衛の敵の戦闘機2台を索制し一機を射落してジャックに思う侭の活動をさせた。この功に依って2人はフランス政府から勲章を授けられ休暇を貰ってパリに遊んだ。聯合軍の總攻撃の準備は成り賜暇中の飛行将校は戦線へ召還された。ジャックとデイヴィッドは總攻撃に先立って敵の偵察用気球2個を撃ち落す命を受けた。2人は翼を並べて出発したが、ジャックは出発直前シルヴィアの寫真のことでデイヴィッドを誤解し甚だしく昴奮していたため途中で敵の戦闘機4台に襲台に襲撃されたことすら気付かなかった。デイヴィッドは止むなく単機敵の4台に当って2機を射落したが不幸敵弾のため操縦の自由を失い河中に墜落した。ジャックはこの激戦を夢にも知らず一路慕進して2個の敵気球を射落した後ようやくデイヴィッドの機影のないのに気付いた。彼は寝もやらず戦友の帰着を持ったが敵地に墜落したデイヴィッドは帰らなかった。翌朝總攻撃の開始と共にジャックは復讐の念に燃えて敵地を阿修羅の如く荒し廻った。敵は聯合軍の總攻撃を受けて混乱した。片腕を負傷したのみのデイヴィッドは敵地を潜み歩いていたが偶然敵の飛行場を発見し、大膽にも敵機を盗んで味方の陣地へ帰ろうとした。そしてシャックと空中に遭遇したため彼は戦友に迫撃され大破して瀕死の重傷を蒙った。ジャックは死んでゆく親友を抱いて断腸の悲通を味った。故郷へ凱旋の日親友の両親を訪ねたジャックの髪には白髪が著しかった。人の世の悩みを知ったジャックはメリーの恋を知って彼女と相抱いた。 <批評> 誰でも2ドル払って喜んで見るべき映画戦慓に次ぐに戦慓、逐に見るものは社経に疲労を覚える位、技術的に見てこの映画は未会有の成功を改めている。物語の扱い方には多少の難がないでもないが、壮決極まりなき空中の大活劇は、心ずや興行的に大成績を挙げるであろう(ウォールド誌イープス・サージェント氏)

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映画レビュー

4.5久しぶりに見る無声映画。第一回アカデミー作品賞に相応しい、見事な映...

2022年4月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

久しぶりに見る無声映画。第一回アカデミー作品賞に相応しい、見事な映画だった。これだけの戦闘機シーンが実写とは、驚きとしか言いようがたない。ストーリーもテンポよく、ユーモアもあり、ただの友情物語ではなく、反戦のメッセージも伝わってくる。数分しか出ていないゲイリー・クーパーも存在感があり、素敵だった。

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tsumumiki

4.0すべての空中戦映画の始祖

2021年2月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

興奮

リュミエール作品群から、現代までの映画史を追体験しようと、キネ旬ベストテン第1回(1924年)から2020年まで96年分のリストを用意した。
さて、意気揚々と「見るぞ〜」と大正時代の視聴可能な作品を探してみたものの、ほとんどが見つからない。せいぜい、過去に視聴済みのチャップリンや西部劇もの程度だ。
CD・DVD販売店やショッピングモールの催事スペースに古い白黒映画が廉価で並んでいたのは2000年前後の頃であったか?すでにふた昔が経過していたのか(苦笑)

そんな中、比較的入手しやすかったのが第1回アカデミー賞最優秀作品受賞の本作だ。(昭和2年になってしまうが)
無声映画だから飽きずに観られるかな?と不安だったが、まったくの杞憂であった!

米国の庶民的な若者である主人公と、隣家の幼馴染であるヒロイン。都会から越してきた美しい令嬢と、街の有力者の息子。
第一次世界大戦を背景としながら、4人の若者達のラブロマンスは誤解や感情のすれ違いに翻弄され、複雑に絡み合う。

2人の青年は共に航空隊の厳しい訓練を経て友情を培い、フランス戦線では名コンビとして戦闘機乗りの名を上げていく。
100年前の作品であるが、若者達の心理と行動は、現在と寸分も変わらない。我が子とその親友達を見守る思いで、作品に没入して鑑賞する事が出来た。(シリアスな脚本の中ヒロインのシーンだけが常にコミカル調だが、これは当時ハリウッドがクララ・ボウに求めていたイメージがお色気コメディ女優なので致し方ないところなのだろう)

特筆すべきは、迫力のありすぎるリアルな空中戦だ。もちろん特撮などではない。
第一次世界大戦時(1914〜1918)の戦闘機乗り達が実際に戦闘シーンを演じているのだ。しかも原作者、監督、主人公と親友役までも大戦時の実戦パイロットだ。
当時、非常に高価だった21台のカメラが使われ、主役級の2人はスタントマンを使う事なく自分達で飛行機を始動し、手回し式のカメラを自分で回している。
(撮影時、死傷者も出たと聞く)

第一次世界大戦にて航空機の活躍は、男子の憧れの的となり、航空技術の研究は目覚ましく進んだ。本作公開と同年、リンドバーグが大西洋横断に成功している。
ハリウッドでは、いかにして迫力と魅力溢れる空中戦を撮るかの模索が続いた。本作は当時の技術の粋と数多くの試みが詰め込まれた一大傑作である。
本作はのちの空中戦作品すべての手本となり、その影響はスターウォーズまでも続く。80年代後半のトップガン辺りまでくると、制作スタッフが視聴していたかはわからないが、それでも当然、本作の影響を色濃く受け継いだ航空映画作品達に学んでいる事は間違いない。
すべての空中戦映画作品は、本作「つばさ(wings)の子供、孫、ひ孫だと言えよう。
つまり「つばさ」は空中戦映画大作の始祖なのである。

現代の映画水準に照らせば「ありきたり」になってしまうだろうが「すべてはここから始まった」のだからそれも当然だ。
現代との比較として星1つ差し引いておくが、この時代に視聴したならば間違いなく星5である。

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pipi

2.0寝落ち

2018年6月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

第一回アカデミー賞ということで見てみました。
今の映画を見慣れていると、なんというか、途中意識を失いました(笑)。

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のえみ

4.0140分の無声映画に耐えられるかなと心配しましたが、十分に楽しめま...

2015年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

140分の無声映画に耐えられるかなと心配しましたが、十分に楽しめました。
さすがアカデミー作品賞!

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伝馬町
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