劇場公開日 2022年11月3日

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「本質を見抜くチャップリンの眼力」独裁者 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5本質を見抜くチャップリンの眼力

2013年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

総合:70点
ストーリー:70
キャスト:75
演出:70
ビジュアル:60
音楽:70

 今でこそヒトラーとナチスドイツの野望と残虐性については広く知れ渡っているが、当時は評価がはっきりと固まっているわけでもなかったらしく、実際日本は彼と組んで英米と戦うことを選んでしまった。
 そんななか、チャップリンは短期間で不況に苦しむ敗戦国ドイツを強国にした強い指導者ヒトラーの本質を見抜き、差別に反対し、侵略よりも友愛を説いた、深い主題のある映画をつくりあげた。
 現代の知識をもった人からヒトラーを振り返ってみればこんなものだろうくらいにしか思わない部分もあるのだが、制作は1940年であって日本もアメリカも参戦していなかった時代である。とにかくこの時代にこれだけのことを明確にしたのはたいしたもので、彼の眼力の正確さがわかる。

 チャップリンは映画の大半は相変わらずの滑稽な演技なのだが、演説になった途端に人が変わったように力強い演説をして一気に深刻な作品に変えてしまう。強いヒロイン役の登場人物が、人としての健全さと不条理に反抗する強さと示し、それでも体制に負けてしまい弱さを見せながら最後に希望を見出すことで、映画における当時の人々の代表として重要な役割を魅力的に演じていた。

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Cape God