「犯罪の謎解きから突然家族模様の掘り下げへ急展開」チャイナタウン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
犯罪の謎解きから突然家族模様の掘り下げへ急展開
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 75
当初は水に関する利権の陰謀にまつわるサスペンスであった。だがそのうちに物語は方向が変わっていく。
ダム建設に関わる大きな利益を求めて、誰かが人を殺すことすら躊躇せずに暗躍している様子がわかってくる。しかしそれに巻き込まれていくうちに、本件に関わる重要人物たちの憎しみと悲しみの人間関係の過去に行き当たることになる。そうなっては主人公のニコルソン演じるチャイナタウンに勤務したことがある元警官の探偵は、利権や陰謀などよりも事件に大きく関わっているフェイ・ダナウェイの人生のほうが大切になっていく。
しかし現実は甘くない。正義は勝つというような単純な話で終わることがなく、それまで殆ど出てこなかったチャイナタウンで不条理な幕切れとなる。そして最後に彼は言われる。「忘れろ、チャイナタウンだ」。
そう、ここはかつて彼が警官だったときに勤務した場所。そのころから彼はここでの出来事に深く関わるなと忠告を受けていた。ここはアメリカの法律がそのまま通用しない、一種の無法地帯なのだ。どんなことがあっても、割り切ることが出来なくても、彼の力ではどうしようもないことがある。こうして恐らくは闇に消えていくことになるであろう事件がまた一つここで起きた。そして今回は彼のすぐ目の前で起きた。ただそれだけのこと。
そんな話は映画の結末としては目出度くまとまる大団円のようなものではないので、必ずしも納得できるものではない。でもこういうことが特に昔は現実には数え切れないくらいあったのだろうとも思う。
謎に迫って危険とぶつかるサスペンス調の前半、うって変わってドロドロとした悲劇的な家族模様の掘り下げ、不条理な結末とちょっと忙しい展開の映画でした。