血ぬられた墓標のレビュー・感想・評価
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陰影の濃いモノクロ画面にみるおぞましさと端正さ
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17世紀のバルカン地方。
その地の王夫妻は悪魔とみなされ、弟によって殺される。
その殺害の儀式はおぞましいもので、内側に鉄鋲のついた悪魔の仮面を被せられ、火あぶりに処せられるというもの。
鉄仮面を被せられる直前、王妃(バーバラ・スティール)は、甦り、祟ってやると呪詛の言葉を吐く。
しかし、火あぶりの途中で雷鳴がとどろき火は消え、王は地中に、王妃は城の霊廟に葬られた。
それから2世紀。
クルヴァヤンとゴロベクというふたりの博士が廃墟のような城へ立ち寄り霊廟を探索するうち、王妃の棺を見つけて、こともあろうか、クルヴァヤン博士が負った手の傷から流れ出たわずかな血が王妃を甦らせてしまう。
そして、廃墟と思われた城には、城主と息子と娘がひっそりと暮らしており、娘カーチャ(バーバラ・スティール二役)は処刑された王妃そっくりだった・・・
といったところから始まる物語で、ニコライ・ゴーゴリの小説に基づいています。
とにかく、冒頭の処刑のシーンが素晴らしく、陰影の濃いモノクロ画面はおぞましさに溢れています。
その後の展開は、甦った王妃であるが、まだ血が足りず、棺から出られない。
虜にしたクルヴァヤン博士を使って、カーチャの肉体を手に入れようとするのだが・・・と現在のホラー映画と比べると品のいい展開です。
全編を通じて、カメラマン出身だったマリオ・バーヴァの優れた映像感覚を楽しみながら、かつ肝を冷やすという秀作に仕上がっています。
バーバラ・スティールは、とにかく大きな目が印象的ですが、歯並びが悪く(正面の前歯2本ほどがやや奥に引っ込んでいる)、時折、品のない表情になるのが残念です。
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