「思い切って削った脚色がよい」地中海殺人事件 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)
思い切って削った脚色がよい
探偵小説の名作を映像化すると金田一もそうですが、やたら登場人物が多くて混乱することが多いようです。女王の名作なので当然読んでいることが前提の造りだから、読んでないのにわからないというのは見当はずれです。
探偵小説としてはA級で、S級ではありませんが、舞台が海に浮かぶこ孤島なので映像にし易いんでしょうね。
当作の脚本は登場人物もサイドストーリーもかなり切り捨てているので、原作のめくるめく迷宮には到底及ばないものの映画としてはなかなか格調高い仕上がりです。
そもそもプロットはミステリーの女王ですから誰が撮っても一定の出来栄えにはなるはずですが、ソリッドに絞ったストーリーを悠然と演出している印象で好感度大です。さすが007で鍛えに鍛えた職人芸ですね。
ポアロ君は傲岸不遜なところは合ってますが、もう少し小男でシニカル且つユーモアがあった方が原作の味わいに近いです。その意味ではフィーニー君の方が相応しいでしょう。
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