地球に落ちて来た男のレビュー・感想・評価
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ボウイそのもの
先日観た「ムーンエイジ」がとても良くて、久々に観てみました。
オディティ・ジギー・ダイアモンド・依存症など、ボウイそのものをSFに落とし込んだような作品。
溢れる才能と、世の中に巻き込まれていく人生もまた近いものを感じます。
この頃は病的に痩せている時期で、その人間とは思えない異質な美しさと、作品の役どころが実にマッチしています。
正直物語云々ではなく、そこに写っているボウイに魅了されてしまうのですね。
高揚が少ない作りな分、時折見せるボウイの美しいカットにハッとするんですよ。
それと随所に見られる日本のパーツはボウイのアイディアかな?
ずっと寂しさの中を漂っているような物語です。
宇宙人役に嵌るデヴィド・ボーイの主演映画の希少性
デビッド・ボーイの役者振りと「アメリカン・グラフィティ」で気になった女優キャンディ・クラークを観るために選択した映画。ボーイは独特な存在感で宇宙人を演じ切っている。クラークは一寸期待外れだった。前半は面白く観たが、後半がつまらない。
1978年 4月19日 大塚名画座
撮影監督として「アラビアのロレンス」「華氏451」「遥か群衆を離れて」「華やかな情事」のニコラス・ローグの監督作品は、この「地球に落ちて来た男」と「ジェラシー」しか観ていない。評価の高い「赤い影」は残念ながら未見。独特な雰囲気を持った映像作りの監督の印象はあるが、それ以上の感想は持っていない。
デビッドボウイ目当てだったためお得感、時代が真空パック
ずっと気になっていてついに観ました、確かにデビッドボウイ目当てでしか今となっては見れない映画かもしれないですが逆に時代の雰囲気がよく出ています、あぁこんな感じの時代だったよなぁ~というのもこの作品の良さ(気に入らなきゃ悪さ)だと思います。
退廃と普遍的な被虐
所用のついでに「地球に落ちてきた男」鑑賞。
こんなに美しく無機質な人間が存在したんだなあってぼんやり感心。
登場する人たちが、皆ことごとく満たされず陰鬱で可哀想なお話。
しかもボウイ扮する宇宙人ニュートンがひたすら虐げられていて、そこに普遍的な無意識の被虐を見るよねえ。
映画館で観て良かった。
映像は奇妙奇天烈なれど、中身は単純。
2016年1月10日にこの世を去った、デビット・ボウイの一周忌上映で観てまいりました。
私の中でデビット・ボウイと言えば、30代後半のヒット曲"Let's Dance(1983)"とか "China Girl(1983)" Modern Love(1983)"そしてやはり"戦場のメリークリスマス(1983)" の人。
もうちょい付け加えれば、"ラビリンス魔王の迷宮(1986)" の人です。
本作はその前の、美しさ全開のボウイ様の映画です。
ボウイ様、初主演映画ですね。
あらすじですが、多分こうだろうというのを書きます。ホン・サンス監督「自由が丘で」以上に、時系列がバラバラなのです。※あ、多分、ネタバレしてます。
トーマス(デビット・ボウイ)は、干からびつつある自分の星から、地球へ水を求めてやってきた宇宙人です。時々、馬糞でできたみたいな宇宙船と、嫁?子供2人?の回想が差し込まれるので、きっと家族を故郷に置いて来たのだと思われます。
水を求めに来たのはいいけど、宇宙船が壊れた?かなんかで家に帰れない。
でも賢いので、宇宙船を作る技術を教授とか弁護士と特許申請し、巨万の富を得る。
お金は手に入ったけど、孤独。
その隙間に入り込むように、良く言えば朗らかな、悪く言えば愚鈍なメリー・ルー(キャンディ・クラーク)と出逢い、酒とセックスを覚え、いつしか目的すらあやふやに。
でも、たまに脳裏に浮かぶ、あの馬糞船。
予知能力なのか、そう思えば気が楽なのか、生まれた星は既に枯渇して家族は死に絶えている情景が浮かぶ。
ますます自堕落になって、酒におぼれる。
そうこうしてる内に、自分が宇宙人ってのがばれたり、弁護士なんかにだまされたり、監禁されたり、年取ったメリー・ルーと再会したり、逃げ出したり、最終的に普通の地球人になる。
多分、こうだと思います。
これを、現在、過去、激しく行ったり来たりしながら、時折1970年代風のサイケデリックな様相と、男女が飛び跳ねる、絡む、前衛的なシーンが差し込まれ、なんとなく、それ風な難解な映像となっています。
なんじゃこりゃ!と思ってしまいますが、監督がニコラス・ローグなので。
映像はそうであっても、内容は単純に考えて差し支えないと判断します(あ、勝手にすみません)。
ふと頭に浮かぶのは。
スティングの"Englishman In New York"のこのフレーズです。
曲の内容はイギリス人がアメリカに来て感じる違和感、孤独、でしょうか。
I'm An Ailen I'm A Legal Alien
I'm An Englishman In New York
Be yourself no matter what they say
誰がなんと言おうと自分らしくあれ。
このイギリス人=スティングであり、同性愛者であることをカミングアウトしたイギリス人作家:クエンティン・クリスプに向けた曲なんですよね。
本作はアメリカに降り立った宇宙人:ボウイ様が、自分を見失い、酒と女におぼれ、故郷を思いつつも、そこにはもう戻れない自分を実感し、でも、忘れたはずの故郷を思い出し、ふと寂しくなり、空しくなり、大して好きでもない純朴な女と暮らし(おバカな女に癒やされる感じ、なんか分かります)、そんな孤独を誤魔化し、でも自分に嘘を突き通すことができず、別れはやってくる。
受け入れる孤独。
そして、都会の喧噪の中に自分の居場所を見付け、ひっそりと生きていく決心をする。
そんな宇宙人の姿は、田舎から出て来て都会に暮らす多くの人達と重なりはしないか?
なので、奇妙奇天烈な映画ではありますが、ノスタルジックが止まらなくなる瞬間があります。
だって、この宇宙人のように、多くの人が水=故郷に錦てきな夢を抱いて、都会に降り立つわけですよ。でも生きるのに必死で、忘れちゃうんですよねー。
そんな哀愁漂う宇宙人役、ボウイ様にぴったりでした。
下半身露出して踊るボウイ様ですが、こんなに無味無臭な感じの男性は他にいないと思います。
あ、因みに。
デビット・ボウイ
クリストファー・ウォーケン
ティルダ・スウィントン
人間じゃない感ハンパない。ベスト3です。
良くわからないけど、視覚的に楽しい
デビッドボウイがきれい
メリールーとの絡みは、えろくないのに見てはいけないものを見てる感があってドキドキした、ボウイがきれいすぎて人間に見えなかったからかもしれない
メリールーの喋り方もスーパー!の奥さんと似ていて、ぐっときた
ただ、ストーリーはあまり理解できないし、没入感もない
繰り返しみたら面白いかもしれないが、長すぎてその意欲も起きない
奇妙な世界観がピッタリなボウイ
D・ボウイの魅力全開で全裸も厭わない中性的でピッチピチな若さで不思議で難解なB級カルトな本作にハマり過ぎて最高。
途中からストーリーの意味が理解不能に。
でも映画の世界観にボウイの存在感で魅了されるのは確かな事実。
監督のN・ローグはボウイにM・ジャガーと見事に全盛期の勢いのある時代をフィルムに収めたなぁとロックンロールの歴史的にも良い仕事をしている。
断崖に立つ宇宙人
あらすじ自体は、いたってシンプル。
アクシデントで地球に落ちてきちゃった宇宙人。宇宙人(?)ならではの知識を使って事業に乗り出す。資金を貯めて故郷の星へ帰るための宇宙事業に着手するが、阻まれて故郷に帰り損ねる。そんなストーリー。
あらすじはシンプルでも、後半、酔っぱらいの妄想のような映像が続くので。
ああ、これは、主人公がちょっとおかしくなっちゃって、「オレ、宇宙人」って言い出してるだけなのでは?(劇中でも「宇宙人の証明」は出来ていない。愛人は信じるが、ほとんどの人は疑っている)。
そもそもの「事業で儲けた」の部分も妄想なんじゃね?イギリスからアメリカに流れ着いた酔っぱらいの夢なのでは?イギリスの酒ビーフィーターばっかり飲んでるし。そんな気もしてくる。
妄想系というか、この世は誰かがみている夢にすぎない…「水槽の脳」的な、独我論の映画にも見えてくる。
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そうは言っても、やっぱり、宇宙人だなあと感じるシーンも多々ある。
宇宙人に惚れる地球の女。
最初の方は、おっぱいなんかも小さくて初々しい娘だったのに、年月を経て、腐りかけが一番美味しいを通り越し熟女というかアル中のババアになっていく。(もちろんメイクなどの力もあるが、演じているキャンディ・クラークがホントに素晴らしい)。
対して宇宙人のデビッド・ボウイは変わらない。年取らない。不老不死な感じさえする。やっぱり宇宙人だなあと思わせてしまう、存在感。(撮影当初、デビッド・ボウイの演技が下手だから声は吹替にしようとしたプロデューサーが居たらしい。上手いとか下手とかを越えたハマり役なのになあ)。自分が宇宙人だと理解してもらえない者の断絶が、よく出ていたなあとも思う。
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そして、ニコラス・ローグ監督といえば「ベットシーン」が特徴的だが。
デビッド・ボウイとキャンディ・クラークのベットシーンも素晴らしい。絡み合って一体化して、まるでクリムトの画のようになってしまう二人。
一体化したのに。
それでも、男が女の全てを引き受ける事は出来ないし、女も同様で、二人の間には、埋めがたい断絶がある。
断絶の哀しさと、それが判っていて尚、身体をまさぐりあう優しさ。
ニコラス・ローグの「ベットシーン」は、過激さのみが取り上げられがちだが、どこか哀しく優しい(名作『赤い影』も同様)。
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故郷に帰れない宇宙人という設定と、他者との断絶というテーマが絶妙に混じり合う映画だが。
ラストの「音楽はラジオの電波に乗って故郷の星に届くかもしれない」は、断絶を越える何かがあるはずだという希望が微かにあって、それも胸をうつ。
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追記1:
ニコラス・ローグ監督『ジェラシー』はクリムト画がモチーフに使われているが、主演のアート・ガーファンクルにクリムト感はない。本作のデビッド・ボウイの方がクリムトっぽいなあと思う。(『ジェラシー』も好きだけども。)
追記2:
裸のシーンが印象的なニコラス・ローグだが、一番好きなのは『美しき冒険旅行』の泳いでいるシーン。あれ、どうやって撮ったのかな?と不思議に思う。
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