戦うパンチョビラのレビュー・感想・評価
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難解だったメキシコ革命
ユルブリンナー扮するパンチョビラはメキシコ革命のために戦っていた。住民らパンチョビラ信奉者を懲らしめるコロラド軍なるものがよく分からんな。公開処刑したり大統領の悪口言ったり。アメリカから飛行機で飛んで来たロバートミッチャム扮するリーアーノルドも銃を売りに来て飛行機直ったらさっさと帰ればいいのに残って争いに関わるもんね。チャールズブロンソン扮するフィエロも銃殺に明け暮れてえげつない。有名俳優ばかりなのにリンチに近い事ばかりでメキシコの歴史が分からないからか難解だったな。
毛のあるユル・ブリンナー
メキシコの反政府軍に飛行機で銃を売っていた男(ロバート・ミッチャム)が、反政府軍に捕まるが、大統領派の革命軍リーダー、パンチョ・ビラ(ユル・ブリンナー)に助けられる。
このリーダーの右腕の男(チャールズ・ブロンソン)は合理的で、簡単に人を殺す。
キャラの濃いチャールズ・ブロンソンがすべて持っていった。
ホントに1968年の作品?!
メキシコ革命を舞台に実在した英雄パンチョ・ビラ(ビリャ、ビージャなどとも)を主人公にした作品。
はっきり言って何もかもが古くさい印象。
1968年といえば、前年始まったアメリカン・ニュー・シネマのムーブメントのただ中で、キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』もこの年。
古く感じさせる要因の一つは、リーを演じた同年58歳になるR・ミッチャムの配役にもある。
ベテラン俳優が演じるいい歳した中年男が親子ほど年齢差のある娘を口説いたり恋に落ちるパターンは、伝統的西部劇が飽きられた一因といわれているのに、また同じことやらかしちゃってる。
リーと恋仲になるフィーナはメキシコ人なのに眼だけは青い。これも先住民役に白人を起用した際によく見られるハリウッドの伝統的手法。違和感ないのか?!
彼女は初対面の白人相手に簡単に体を許すし、男の方は革命軍も反乱軍も無闇に人を殺しまくるわで、人種的偏見が丸見え。
ベトナム戦争やってる時にメキシコ革命描いてるのに…。
この作品、ほかの出演者がY・ブリナー、C・ブロンソン、F・レイ、F・ウォルフにブロンソンの愛妻J・アイランド、脚本S・ペキンパー(共作)で音楽がM・ジャールとメンバーはやたらと豪華。それだけに、世界三大珍味をトッピングした期限切れの冷凍タコスみたいに感じてしまう。
当時は世界的に大ヒットしたマカロニ・ウエスタンの影響をハリウッドが受け始める頃(アメリカン・ニュー・シネマの誕生も、その一環だと思っている)。それだけに、製作年も会社も同じ(パラマウント)S・レオーネの『ウエスタン (Once Upon A Time In The West)』とどうしても比較したくなる。
同作にも謎多きガンマン役(ハーモニカ)で出演したブロンソンは、今回ビラの副官フィエロ役で登場。手当たり次第人を殺すがハーモニカのようにバックボーンが明かされないのでまったく共感出来ず、寒々しい印象しか受けない。おまけに彼が尖鋭化し過ぎてブリナー演じるビラの影がやたら薄い。
そのうえ、過激な映像のわりに「ペキンパーの脚本ちゃんと使ったの?」と言いたくなるくらい、カタルシスを感じない。
結局、新しい価値観に挑む姿勢に乏しく、マカロニ・ウエスタンからは残酷描写を模倣しただけに終わっている。
若い頃、ジョン・リード(映画『レッズ』〈1981〉の主人公)のルポルタージュやC・フエンテスの小説『老いぼれグリンゴ』(1989年に『私の愛したグリンゴ(邦題)』として映画化)を読んだ経験からメキシコ革命に興味があり、同じ時代を扱った『革命児サパタ』〈1951〉も名作だったので期待が大きかっただけに残念。
この映画見たあとにS・コルブッチの『豹/ジャガー』〈1969〉観たら、名作通り越して映像芸術にみえるかも。
NHK-BSにて視聴。
街角のポスターに・・・。
11月21日(木)NHK・BSで「戦うパンチョビラ」を。
「いちご白書をもう一度」の歌詞に「雨に破れかけた街角のポスターに過ぎ去った昔が鮮やかに蘇る」という歌詞があるが、昔は街中に映画のポスターが貼ってあった。近所の映画館で上映中の作品のポスターを街角でよく見かけた。ユーミンは私と同い年である。「君も見るだろうか『いちご白書』を」
「戦うパンチョビラ」のポスターの前を通った記憶がある。ユル・ブリンナー、ロバート・ミッチャム、チャールズ・ブロンソンの3人の顔のデザインのポスターの前を通って通学していた。ちょうど「さらば友よ」を名画座でみた後で、チャールズ・ブロンソンはどんな役なんだろう?と思いながら歩いていた。「戦うパンチョビラ」を映画館で観る事はなかった。
あれから五十余年、今日NHK・BSで放映された。監督バズ・キューリック(ハンター)、脚本サム・ペキンパー(ワイルドバンチ)、ロバート・タウン(チャイナタウン)、音楽モーリス・ジャールと中々のスタッフである。
あれ?どうした?!実在したメキシコ革命の英雄パンチョ・ビラ(ユル・ブリンナー)が主演のはずなのに、反革命軍に武器を売っているリー(ロバート・ミッチャム)やビラの副官フィエロ(チャールズ・ブロンソン)の方が目立っている位で、メキシコ革命の英雄の姿が見えて来ない。ユル・ブリンナーが実在の人物に寄せて髪と髭があるのがまたしっくり来ない。リーの色恋やフィエロの非情さを描くシーンはあっても英雄パンチョ・ビラの掘り下げが足りないのだ。リーとフィエロも反目し合っているが、普通はどこかで和解し意気投合するものだが、そんな事もない。
脚本も音楽も良いところが感じられないね。ラストも尻切れ感が強い。
大統領を暗殺する悪い将軍がハーバート・ロムだったり、将軍にビラの銃殺を命じられる兵隊がフェルナンド・レイ、最後にレストランでリーと一緒に食事をしている女がブロンソンの妻であるジル・アイアランドだったり脇役の顔ぶれを楽しんでしまった。
ブロンソンと再婚した(前の夫はデビット・マッカラム)ジル・アイアランドは、この作品以降のブロンソン出演作品にはセットで必ず出演するようになった。
パンチョの影が薄い
総合:60点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
メキシコ革命という動乱期に活躍した実在の人物パンチョ・ビラを描く話ということだが、どうにも彼がこの動乱の時代をどうしたいのかが伝わってこない。
そもそも前半はユル・ブリナー演じるパンチョに殆ど見せ場がない。武器の密輸をしている操縦士がパンチョの部隊に加わり、革命そっちのけで仲間内で女とよろしくやっているだけでは、物語に躍動感がないのも当然。説明不足なために当時のメキシコの状況すらどうなっているのかわからない。
当然の結果として、革命のことも人物像にも迫れていない中途半端な作品になった。パンチョよりも操縦士と、そして何と言っても副官を演じたチャールズ・ブロンソンのほうが渋くて存在感が高かった。
後半は多少パンチョも活躍し始めるし革命やらそれらしい話になってくるが、これでは前半の話は何だったのかと言いたくなる。どこに焦点を当てるべきかがしっかりとしていない。
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