黄昏(1951)

劇場公開日:

解説

ウィリアム・ワイラーが「探偵物語」に先立って製作・監督した、セオドア・ドライザーの処女小説「シスター・キャリー」の映画化、1951年の作品である。脚本は「女相続人」のルース及びオーガスタス・ゲーツ夫妻で、原作の一部を集中的に脚色した。撮影は「旅愁」のヴィクター・ミルナー、音楽は「悪人と美女」のデイヴィッド・ラクシンが担当。主演は「嵐ヶ丘」以来ワイラーと組んだロウレンス・オリヴィエと「終着駅」のジェニファー・ジョーンズで、以下「女相続人」のミリアム・ホプキンス、「ブラザー・ラット」で舞台から映画入りした喜劇俳優エディ・アルバート、ベイジル・ルイスディール、レイ・ティールらが助演する。

1951年製作/アメリカ
原題または英題:Carrie
配給:パラマウント日本支社
劇場公開日:1953年10月15日

ストーリー

19、20世紀の交。ミズリーの田舎から姉を頼って働きに出たキャリー・ミーバー(ジェニファー・ジョーンズ)は、たちまち衣食の道を失って汽車の中で知り合ったセールスマンのドルーエ(エディ・アルバート)の援助に頼らなければならなくなった。ドルーエは彼女を彼のアパートに引き入れ、結婚を口実に同棲を始めたが、むろんその意志はなかった。シカゴ一流の料理店フィッツジェラルドで支配人をつとめるジョージ・ハーストウッド(ローレンス・オリヴィエ)はドルーエのなかだちでキャリーに会い、冷酷強欲な妻(ミリアム・ホプキンス)では満たされない温かさをこの田舎娘に感じた。2人は、旅がちのドルーエの目を盗んで逢瀬を増し話はついに結婚にまで進んだ。ジョージは妻に離婚を要求してキャリーと新しい生活に旅立とうとしたが、むろん妻は許さず、彼は逆上のあまり店の主人の現金を握ったままキャリーを拉してニューヨークに奔った。これより前ジョージに妻のあることを知ったキャリーは一時烈しい絶望におちいったのだがもはや彼女も自分の情熱に抗する術はなかったのである。ニューヨークの2人は幸福だった。しかしやがて主人の金の件がこじれ、ジョージはあらゆる料理店から職を失った。しかも妻と正式離婚をするためには故郷の全財産も捨てねばならず、かくて彼は全くの無一文になり下がった。キャリーはジョージの子を流産した後、女優となって生活をたてる一方、ジョージをシカゴの息子と会わせようと図った。出かけたジョージはみすぼらしい自分を息子の前にさらす気になれず、ニューヨークに帰ってくると、キャリーは置き手紙と共に家を去っていた。数年間、ジョージは公共の保護を受ける乞食にまでなり下がり、一方キャリーは華やかなスターとなって売り出した。ある夜、彼女の楽屋口に、一飯の恵を乞うジョージが現れた。キャリーは、彼女のためにこれほどの打撃をこうむった男を見て、2度と離れまいと誓ったが――しかしジョージは彼女のすきにテーブルから小銭を1つ取り上げると、何一言いい残さずに静かに楽屋を立ち去った。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第25回 アカデミー賞(1953年)

ノミネート

衣装デザイン賞(白黒) エディス・ヘッド
美術賞(白黒)  
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映画レビュー

4.0人生の黄昏

2022年3月19日
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泣ける

悲しい

怖い

何とも終わった後の後味の悪さ。

映画にではなく、世紀の大スター、ローレンス·オリビアを役とはいえあそこまで地に落とした演出には圧巻。

白黒映画ながら、あの時代の妻帯者の命懸けの恋も現実にはシビアで悲劇を呼ぶと。
知らしめたような絶望的ラストシーンは、寧ろ衝撃的でした。

最近の三流よろめき不倫映画に先制パンチを、食らわせるような内容に最後まで胸ぐらを捕まれた感じです。

悲恋というより、まさに悲劇。

地位も名誉もお金もある中年の紳士が、田舎から出てきた若い女に人生のすべてを捧げて、身を滅ぼす映画だが。

勘違い?からローレンス.
オリビアを見捨てた彼女は逆に女優として地位も名誉も掴む。生きる為ホームレスに成り下がり施しを受ける為彼女に会いにいく姿は観ていて痛々しかった。しかし結局最後まで彼女に恨み言も、施しも受けずに。

ワンコインだけ、掴み立ち去っていく男の姿は最後まで一人の女にプライドをかけて愛を貫く
誇りを感じた。

救えない程の悲劇映画でありながら。

男の潔さと、女のエゴイストを描いた秀逸。流石あの

「ローマの休日」のウィリアム.ワイラー監督映画

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かつみ

3.0「探偵物語」と「ローマの休日」の間の作品にしては…

2022年1月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

NHKBSで放映があり、
監督が巨匠ウィリアム・ワイラー、原作が
昨年改めて鑑賞した「陽のあたる場所」の
セオドラ・ドライサーと知って初鑑賞。

それにしても、
こんな惨めな役柄のローレンス・オリヴィエ
をスクリーンで見たことはあっただろうか。
彼は時代劇のヒーローだったり、
富裕世界を代表するような役柄が多かった
イメージなので驚きの配役だった。

そして、前半は女性、後半は男性が主役との
イメージの面白い構成の作品でもあったが、
しかし、何かしっくり来ない鑑賞。
終盤のセリフやラストシーンに
なんとも言えない余韻があったものの、
多分に、特に前半の展開に
不自然さが溢れており、
それが最後まで尾を引いてしまった感じだ。

二人の男性がヒロインに夢中になるのは
多分彼女がとびっきりの美人だったから、
としか思えない展開だが、だとしたら
それまでの彼女の人生は違っていたはず。
またセールスマンと同棲する経緯、
支配人の窃盗等々、
御都合主義的な展開に気勢を削がれた。
「陽のあたる場所」は
見事な原作でもあったように感じたが、
この作品では何かと
リアリティを感じ取れず、
またウィリアム・ワイラーの演出も、
せっかくのローレンス・オリヴィエと
ジェニファー・ジョーンズで盛り上げた
ラブシーンだけではカバー出来ないままに
完成させてしまった印象だ。

この映画は、名作「探偵物語」と
「ローマの休日」の間の映画だが、
もう一つ体制が充分では無かったの中で
撮られた作品だったのだろうか。

日本初上映当時、
そんな展開の不自然さからなのか、
キネマ旬報では、評論家のどなたからの
1票も獲得出来なかったのが
納得の印象ではあった。

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KENZO一級建築士事務所

2.0浮気に走るどうしようもない話

2021年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジェニファージョーンズ扮するキャリーは、田舎からひとりシカゴに出て来た。工場をクビになり途方にくれたところ紳士が助けてくれた。妻になったはずなのに何故ローレンスオリビエ扮するジョージハーストウッドが誘うのか? キャリーもすぐ浮気に走る。どうしようもないね。

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重

4.0タイトルが切ない

2021年12月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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こころ