劇場公開日 1976年9月18日

「やっぱりデ・ニーロは素晴らしい!」タクシードライバー lemonbeckさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5やっぱりデ・ニーロは素晴らしい!

2025年6月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

斬新

ドキドキ

ロバート・デ・ニーロとジョディ・フォスターが好きなのに、なぜか今まで見ていなかった映画。正直、もっと残酷な話だと思い込んでいて、つい敬遠していました。もっと早く見ておけばよかったと思える傑作でした!

ベトナム戦争からの帰還兵トラヴィスを演じるのはロバート・デ・ニーロ。彼には「不穏」という言葉がぴったりです。何かをしでかしそうな雰囲気が常に漂っていて、日記を書いていても、コーヒーを飲んでいても、その空気感がにじみ出てくる。そうした微妙なニュアンスを表現できるのはまさに職人技だと思います。
この映画の面白さは、トラヴィスと言う人間も、物語そのものも、どこかちぐはぐで矛盾しているところにあります。
彼がデートに誘った女性ベッツィーのセリフがその本質をついているように感じました。彼女はトラヴィスのことを「クリス・クリストファーソンの歌詞に出てくる“預言者で、麻薬の売人。作り話の半々の歩く矛盾“みたい」と評します。まさにその通り。好きな女性をポルノ映画に誘うと言う奇行を見せたかと思えば、売春をしている少女には正論を語る。そんな矛盾だらけの彼の行動が、物語を不思議な方向へ導いていきます。そして、結末も「そう来たか!」と、想像してない方向へ。
バーナード・ハーマンの音楽もまた、どこか不穏で矛盾をはらんだ名曲です。ゆったりとしたジャズ調かと思えば、突然不安を煽るようなドラムが響き出す。まるでトラヴィスの心の揺れをそのまま音にしたようで、非常に印象的でした。

lemonbeck
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