劇場公開日 1976年9月18日

「単なるバイオレンスではない」タクシードライバー フレンチカンカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0単なるバイオレンスではない

2021年3月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

海兵隊上がりのタクシー運転手が、街角のガラス越しに見かけた選挙応援の仕事をしている彼女を茶店に誘って口説くシーンが最高。大きなガラス窓のすぐ外を通行人や定期バスが止まったり発車したりするのを見もせずに、パイやフルーツサラダを口に運ながらデカカップのブラックコーヒーを、味も分からぬ気で見つめ合い、しゃべったり合う午後4時の休憩時間。その後映画を見に行ったのはいいがポルノだったのに怒った彼女はタクシーを拾って帰ってしまう。彼の捨て台詞「送ってやったのに」印象的な場面だ。

目がキラキラ光った自信満点なR・デニーロの中に巣食った無鉄砲な言動は、過酷な戦場体験に依るPTSDと容易に理解出来る。単なるバイオレンスではないのだ。

スコセッシ監督の第29回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。

チョイ役のJ・フォスターが、複数の助演女優賞と新人賞をかっさらった貴重な作品でもある。

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