「アラン・ドロンの代表作」太陽がいっぱい SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
アラン・ドロンの代表作
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フランス語だからなのかどこかウェットな眼差しをしているからか石田純一ファッションwが板についているからか分からないが、主役のアラン・ドロンはもう一つアメリカの青年には見えない。だが、鏡の前でフィリップの彼女に愛を囁くイメージングをするシーンや、海で背中を焼かれるシーン、「悪いのはフィリップだ。」と罪を重ねていく時のセリフは、美しい肢体に黒い髪、クールブルーの瞳を持つ彼でなければ成立しなかった気がする。
脚本は、クレマン監督が大戦後の貧苦にあえぐフランスの若者達に代わって、戦後は世界一リッチになったアメリカやブルジョワ階級に対してちょっとした皮肉を込めている感じもした。
例えば、フィリップの友人フレディがトムを怪しんで尋ねた場面。
「何の仕事をしているんだ?」
トムは答える。
「何もしていない。君は?」
対するフレディ。
「本職はない。だが金はある。」
同じ年頃で同じように無職なのに、一方は遊んでいて当たり前で、他方は怪しまれる。生まれの格差が浮き彫りになりトムの妬みが膨らんでいくのがわかるのだ。
そしてお天道さまの下、晴れてゆっくりした矢先の、原作小説とは異なるきっぱりしたラストも上手いと思う。
犯罪は犯罪。
監督の良心だろうか。
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