「原作はパール・バックの「大地」中国北部に住む貧しい農家の王龍(ワン...」大地(1937) yonda?さんの映画レビュー(感想・評価)
原作はパール・バックの「大地」中国北部に住む貧しい農家の王龍(ワン...
原作はパール・バックの「大地」中国北部に住む貧しい農家の王龍(ワンルン)が豪族の黄家から奴隷の阿藍(オーラン)を妻として貰い受ける日から映画が始まる。黄家に行く途に桃を売ってる商人がいて、初めて出会ってふたり会話もないまま桃を買って食べながら歩く。ワンルンが食べ終わった種を捨て、それをオーランが拾う「植えたら木になるわ」これがラストにつながっていて、物語の中のワンルンに対してのオーランの姿勢をも表している。オーランは無口で働き者で、どんな困難な状況におかれても思慮深い選択をする。夫婦は懸命に働き5つの畑を手に入れ、子供を3人授かる。
やがて起きる飢饉。南で起きた暴動。たまたま手にした幸運。ワンルンの叔父が金たかってくる糞キャラで、提案してくることもロクなことが無い。2人目の嫁ををすすめたり茶館に連れて行ったり。
第二夫人をオーランも承諾するが楽器弾きまくりのお色気女。新ママから誘惑される次男坊。靴の修理を頼むが女が男に靴を渡す行為の意味は心を許したと言う意味らしい。
第二夫人と次男がイチャつく現場に踏み込んで息子をボコボコにするワンルン。家庭崩壊。次男が追い出されるその日にイナゴの大群が襲来する。この時のイナゴが食い荒らす映像は本物だし凄まじい。ここが最も凄いシーン。石油を線上に撒いて火の壁をつくり、溝を掘って水を流してイナゴが入ってこれないようにする。それらも全部突破されてしまい最後は大量のバッタを農具で必死に叩き潰す。
風向きが変わり飛びさっていくバッタの大群。歓喜の声を上げるワンルンと農民たち。この時オーランだけは「主人が息子と畑にいる」ことの喜びを噛みしめていた。ワンルンが大金を得てすっかり農作業しなくなったから。バッタと一緒に戦った次男と和解。
桃の種を宝石のようにオーランに手渡すワンルン。大きくなった桃の木を見つめ、オーランが私の大地だったとつぶやくラスト。良作品。