劇場公開日 1997年12月20日

「不安な船出は、最高の航海となった!」タイタニック 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5不安な船出は、最高の航海となった!

2018年2月12日
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鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波、CS/BS/ケーブル、映画館

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思い出しレビュー3本目。
『タイタニック』

画家志望の貧しい青年ジャックと令嬢ローズの身分違いの恋。
沈みゆく世紀の“タイタニック号”…。
公開されるや否や、興行収入、製作費、オスカー、涙の量…ありとあらゆる映画の記録を塗り替えた、間違いなく映画史に残る一大スペクタクル!
公開から20年経っても、未だにランキングで上位に居続け、生涯の作品に本作を挙げたり、最近もまた話題を提供したりと、本当に色んな意味で愛された名作なんだなと思う。

でも、ここまでの道のりは険しかった!
キャメロンが“ロミオとジュリエット”的な恋愛モノを撮る? ありえねー!
映画会社に企画を出しに言った時も、「とりあえず分かった。で、何処に爆破シーンや銃撃シーンがあるんだい?」と言われる始末…。
製作費が高過ぎ。今更古めかしいラブ・ロマンスなんて誰が見るか。上映時間が長い。例えコケても回収出来るようなグッズになるようなものが何も無い。例えヒットしても続編は絶対にあり得ない。
製作前から批難の数々。
製作入ってもそれは落ち着かず、鬼監督キャメロンの凄まじいまでのこだわり、レオは当初は乗り気じゃなかった、ケイト・ウィンスレットはずぶ濡れになって逃げるシーンを高熱と闘いながら撮り終えたと思ったらすぐ次のシーンの撮影が始まり全く休ましてくれなかったとブチギレ寸前…。
スタントにも事故が続き、こりゃ誰の目に見えても世紀の失敗作…。
そんなバッシングを全てひっくり返し、伝説の瞬間に。
やっぱり映画というものは、いざ公開してみないと分からない。

それまでアクションやSFの監督だったキャメロンが手掛ける古典的ロマンス。話に目新しさは無いが、それでも非常に引き込ませる確かな語り口。『アビス』『ターミネーター2』などもドラマとしても見応えあったので、これは元々無用の心配だったかもしれない。
沈没のパニックは、これぞキャメロンとでも言うべきダイナミックでスケール充分のスペクタクル。このメリハリの付け方はやはりさすがだ。
絢爛豪華な美術・衣装。
釘一本まで当時と同じものを作らせた実物大のセットは、単なる映画美術じゃなく、文字通りタイタニックを甦らせた!
故ジェームズ・ホーナーの名曲。誰もが歌ったあの主題歌。
美しいレオ様(失礼!)。若いケイト。誰もが真似したあの名シーン。
映画の面白味、旨味を贅沢なまでに濃縮した、THE映画!

最近もまた話題を提供した。
よく言われるあのラスト、ジャックもあのドアに乗れて、助かれたんじゃないか…!
はっきり言わせて貰うと、アホらし…。未だにこんな事言う輩が居るのか…。
助かってたらどうなってた?
二人は結ばれて最後まで幸せに暮らしました?…そうなってたら、『タイタニック』がここまでの感動の名作になっていただろうか。
ジャックという青年と出会い、短い間でも愛し合い、永遠の別れ、彼の事は人生最後の瞬間まで忘れず…。
映画には時々、ちょっとご都合主義だが、必要な犠牲もある。
それが時に、映画を永遠の名作にする。

近大