「映画ファンなら絶対観ていない訳にはいかない名作中の名作」大脱走 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
映画ファンなら絶対観ていない訳にはいかない名作中の名作
最高に面白い映画の筆頭に必ず上がる作品のひとつです
しかも何回観ても面白い、飽きない
3時間近くあっても全く長いと感じない
それどころか、少しでも観だすと止まらない、最後まで見通してしまう
冒頭のテーマ曲のマーチだけでもう虜にされてしまうのです
それほど面白い映画です
脚本や演出がものすごく練り上げられており、伏線と回収が見事
脱出前にいくらうまくドイツ語やフランス語の会話をこなせても話相手が突然英語に切り替えるとつられてバレると注意する人物が同じ手に引っかけられたりするのは序の口
ことにヒルツが逃亡途中で調達したドイツ兵の軍服を敵に見つかってから脱ぎ捨て、スイスには国境線の鉄条網を越えるだけのところで投降する際にTシャツの裏に隠していた米軍の自分の階級章を見せるシーンは、そのあとに起こる大量殺戮の伏線になっています
キャラクターの描き分けも素晴らしく、大量の登場人物がそれぞれの役割を果たしますが、観る側が全く混乱することなく物語が進行し、それぞれに感情移入ができるのです
ポーランドの脱走常習者専用の特に重警備の新設収容所
そこからスイス国境まで南に約1,100キロ
ドイツ占領下のフランス国境でも南西に約800キロ、さらに中立国スペイン国境へはそこから1,300キロ
ドイツ国内ラベ川の河口ハンブルクの港から中立国スウェーデンの貨物船なら西に約500キロ
単に収容所から脱走するだけではなくそれだけの距離を敵地の真っ只中を怪しまれずに移動するには、変装用の衣服、各種の身分証明書等が必要です
しかも250名を一挙に脱走させる計画なのです
単なる思いつきや、並大抵の準備では不可能です
それを収容所のなかですべて計画し組織化して必要な物品も調達して、ひそかに実行する
その準備のプロセスがまた楽しい
マックイーンが演じるヒルツのバイクでの逃亡シーンは特に印象に残るシーンとして多くの映画ファンの永続のベストシーン のひとつでしょう
映画ファンなら絶対観ていない訳にはいかない名作中の名作でしょう
素晴らしいレビュー解説ありがとうございます!m(_ _)m
いや〜まだまだ奥深い映画で、何度観ても新たな発見がありますね。
ロジャーのあの一言の裏をそこまで読める方はなかなかいないと思います。すごい納得がいきました!
レジスタンスなんかも出て来ますし、他のシーンの解説も教えて頂きたいです。^ ^ m(_ _)m
質問ありがとうございます
劇中の英語の台詞まで確認してないのですが誰も尋問されずに移送されるというのは、おかしいという主旨の発言だったと思います
尋問しないで移送するということは不自然なのです
逃げた残りを逮捕するためには、捕まえた者を至急尋問しなければなりません
偽装の服装や携帯する偽装書類などを知る必要があるからです
悠長に移送する前に直ちに全員にするべきことです
それをあの苛烈なゲシュタポが、しなかったのは絶対におかしい
考えられることは二つです
一つは、ゲシュタポの本当の狙いを見抜き、これから起こる虐殺を予想した。
けれども、まさかいくらなんでもそこまですることはないだろう、と思い直し無理やりその考えを頭から追い出した。
そしてもう一つの考えの、我々以外は全員殺されたんだ、ここにいるのが全員だ。
そうロジャーは思い込もうとしたのではないでしょうか?
「多くの部下に犠牲を強いたのかな」と言ったのは、この二つの考えが瞬時に脳裏に去来して言葉になったのだと思うのです
このように解釈しています
回答ありがとうございます。
なるほど!!!だからキャベンディッシュは捕まった時にスパイだっていわれてたんですね!!
ロジャーが護送中、「尋問も無しに移送だ。多くの部下に犠牲を強いたのかな…」って言ってますけど、本当はもともと銃殺するつもりだったから、他の人も尋問なんてされてないって事なのですか?
コメントありがとうございます
脱走捕虜は連合軍の軍服ではなく、私服で敵中を行動し、偽造の身分証明書を携帯しています。
つまり捕まれば自動的にスパイと見做されます。
スパイは銃殺と決まっているのです。
そもそも脱獄常習犯専用の捕虜収容所がなぜ新設されたのかです
実はゲシュタポは大規模な脱走をわざと誘発させ、脱走捕虜を一網打尽に捕まえた上で一気に銃殺してしまいたかったのです。
フォン・ルーガー所長はゲシュタポではなく、ジュネーブ条約を遵守しようとするまともな考えを持つドイツ空軍大佐です。
しかもフォンが名前にありますから誇り高い貴族の出なのです
彼はゲシュタポの狙いを察して、捕虜虐殺の口実にさせないようにするために脱走阻止の努力をしていたのです。
さて、ヒルツは途中ドイツ兵のバイクと軍服を奪い敵中をスイス国境に向かいます。
しかし、もう逃げ切れないかもしれない、国境を飛び越えられないかもしれないと観念したからドイツ軍服を捨てたのです。
つまりスパイと見做されその場で銃殺されないための用心です。
だから国境突破に失敗した時、階級章をドイツ兵に見せることで自分はスパイでないと主張しているのです。
軍事行動での降伏であるからジュネーブ条約における戦時捕虜として扱えと示しているのです。
自分をスパイとしてその場で殺すことはできないぞ!ということです。
しかしゲシュタポに逮捕された脱走捕虜50名は、護送途中にスパイとして虐殺されてしまうのです。
つまり、ヒルツの行動は他に捕まった者たちの運命を暗示する伏線であったというわけです。
初めまして!最近はじめてこの作品を観て本当に大好きになってしまいました。
ヒルツがTシャツの裏に隠していた米軍の自分の階級章を見せるシーンがその後の伏線になっているとはどういうことなのですか?この仕草の意味がわからなくて気になっていたので教えてもらえると嬉しいです!!