「私のオールタイムベストに入る名作✨」ターミネーター nekomusumeJAPANさんの映画レビュー(感想・評価)
私のオールタイムベストに入る名作✨
みんなT2が好きでしょうけど、私は、もちろん2も傑作で大好きではありますが、やはりこの1が好きです。なぜならこの1だけが、本来の機械対人間の戦いだからです。
2や3は人間を守るものも機械。それって、テロに屈したアメリカみたいじゃないですか?って余談ですが(笑)機械戦争で人類が生き残る為には、やはり機械に頼るしかないのでしょうけれど。
本作の最大の魅力は、生身の人間であるカイル・リースが戦うところにあると思います。
カイルのバックボーンなども回想シーンで何度か出てきますし、観客は彼に十分感情移入できるでしょう。カイルの過酷な状況と、サラへの想い。そしてクライマックス。全てが終わった後のサラのあのシーン...。涙なしには観られません。
T2で泣けるなら、こちらはその3倍泣けるでしょう。
とにかくカイルが不憫で不憫で。でも彼はきっと後悔はしていないのでしょう。むしろ想いを遂げられて、サラも無事に生き延びてジョンを生むことになり、使命を達成できたのだから満足なのではないでしょうか。でも観ている観客からしたら、不備。
彼は機械戦争の只中に生まれ、あの過酷な状況を生き抜き、二度と戻れないと知りながらも志願して未来へサラを救いに行き、壮絶な最期を遂げる。一体カイルは何のために生まれてきたのだろう。自分自身の為には何もしていない...。
だって、自分こそがジョンの父親になるのだとは知りもしないのですから...。
それを知らないカイルにとって、未来へ行くという行為は、ズバリ自殺行為だったのでしょう。生きる意味を見出せない世界で生きるより、命を犠牲にしてでも憧れの女性に会いに行きたい、と思ったのだろうなと。究極の自己犠牲です。でも、そこがいい!その不備さこそが、カイルというキャラクターの魅力なのです。
この映画の脚本の旨いところは、ジョンがカイルに真相を告げずに未来へ送ったことです。
もし、それを知っていた設定ならば、カイルにも更なる使命感が生まれて、生きる意味を見出してしまいますね。それはそれでいい話なのですが、この、何とも言えないほろ苦さというか、不憫さを帯びた作品には到底なり得なかったでしょう。ニクいけどナイスな設定!ジョンはなんて残酷なんだ(笑)カイルはなんて可哀想なんだ。
だがそれでいいのだ(笑)
カイルの本当の使命はサラと結ばれることだったわけですが、そんなことは知らないまま、カイルは...。嗚呼、つくづく不憫で愛おしい男だ。
ちなみに、T2のディレクターズカット版に、カイル・リースが出てくるということを知っている人はどのくらいいるのだろう(笑)劇場公開版ではフルカットされ、マイケル・ビーンのクレジットはありませんが、必見です。2の雰囲気には合わないのでカットして正解なのですが、カイルというキャラクターに感情移入した観客に対するサービス演出と言えるかもしれません。サラが見る幻ですからね。何とも切ないシーンです。
このシーンがなくとも、サラが未来を変えなければならないと半狂乱になる理由はわかりますが、カイルの幻を見たという前提で2を見ていくと、また違った意味も生まれてきて、それも切なくいいものです。