「「大丈夫、理屈じゃないんです!」って言われても…」ダーティハリー2 TRINITY:The Righthanded Devilさんの映画レビュー(感想・評価)
「大丈夫、理屈じゃないんです!」って言われても…
クリント・イーストウッド主演の人気シリーズ第二弾。
前作のラストシーンで警察バッジを投げ捨てたはずのハリー・キャラハンは、本作では殺人課から出向中の立場で復活。一作目の大ヒットを受けてのシリーズ化だが、一方で刑事なのに手段を択ばぬ手法とバイオレンスシーンは当時物議も醸すことに。今回はハリー以上に法を顧みない警察内部の過激な集団と敵対する役回りで主人公を活躍させることでバランスをとっているようにみえる。
子供の頃(小学校低学年)からマカロニ・ウエスタンの大ファン。従って、イーストウッドも好きな俳優。彼の新作を劇場で見られないことも多々あったが、見逃した作品も大体TVで拝見している(本シリーズも初見はすべてTV放送)。
そんな自分にとってイーストウッド・ファンであるが故の不幸が存在する。
それは本シリーズよりも先に『俺がハマーだ!』を見てしまったこと。
だってこっちが元ネタなのに、「このシーン見たことある!」って場面が満載なんだもん。
前作でサンフランシスコ市長を演じていたジョン・ヴァーノンは『ハマー!』の初回にも同じ役で出てるし、本作なんかシチュエーションが第8話でまるまるパクられてる。ですよね、ノーブラ…じゃなかった、バーブラ検事。
おかげでイーストウッドが監督したシリアスな戦争映画『父親たちの星条旗』(2006)も、デイヴィッド・ラッシュが出てきただけで笑ってしまった。これも初見が映画館じゃなくてよかった…。
監督はテッド・ポスト。本作の5年前にもイーストウッドと組んで撮った『奴らを高く吊せ』(1968)は私刑(リンチ)をリアルかつバイオレンスに扱った異色西部劇。
脚本を手掛けたのはジョン・ミリアス(原案も)とマイケル・チミノ。
暴力シーン満載のいかにも彼ら好みのプロットに仕上がっているが、モチーフは反体制派からホームレスやストリートチルドレンまで手当たり次第に標的にしたブラジルの「死の部隊」(日本のメディアでは「必殺隊」と呼ばれていた)。
ちなみに本作での警察内部の私刑部隊は字幕で「暗殺団」と表記されていたが、『俺がハマーだ!』の吹き替えでは「おしおき団」…て、そんな情報、要らない?!
ハリーの無軌道ぶりに振り回されたあげく爆殺される気の毒な同僚アーリー(昔見た吹き替え版ではアーチーだったような気が)を演じていたのはフェルトン・ペリー。
前からどこかで見たことあるような気がしていたが、旧『ロボコップ』シリーズにオムニ社幹部役で出てた人だった。髪型と眼鏡だけで、けっこう印象変わるもんですね。クラーク・ケントが正体バレないのも、なんか納得。
BS日テレにて視聴。
シリーズ全作品を放送予定だそうだが、最近NHKでもイーストウッドの関連作品やたらとやってる。
でもまだ彼、死んでないよね?!(どこがファンやねん)
まだまだ長生きしていて欲しいし、この時期できればロバート・レッドフォード作品の方を優先させて欲しい。
