「既成権力への反抗」卒業(1967) 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
既成権力への反抗
1967年(米)監督マイク・ニコルズ。
ベトナム反戦運動や学園紛争に揺れた60年代の空気を
鮮やかに映し出している
この映画、同年製作の「俺たちに明日はない」
と共にアメリカン・ニューシネマの到来を告げる作品と
なりました。
大学を卒業したベンジャミン(ダスティン・ホフマン)は
自分の将来と境遇に疑問を抱いていた。
そんな彼は中年の女性ロビンソン夫人(アン・バンクロフト)に誘惑され
成り行きのまま密会を重ねる。
しかし夫人の娘エレーナ(キャスリン・ロス)の純真さに胸打たれ、
真実の愛に目覚めて行くのでした。
主人公のベンジャミンはスポーツ、学問ともに優秀な成績を修めて大学を
卒業しますが、この年頃の誰もがそうであるように説明しようのない焦燥や
不安を抱えています。
主体性のない彼は年上のロビンソン夫人に誘惑され簡単に屈してしまう。
しかしエレナが他の男性と結婚することを聞きエレナを深く愛していることに
気づき彼女を結婚式の最中に奪って逃げんるのです。
このあまりにも有名なラストシーンが若い世代の観客たちの
心をつかみました。
十字架を振り回して大人たちに抵抗して、彼らを教会に閉じ込めて
置き去りにするベンジャミンに、1960年代の若者は、
既成の権威、モラルに対する反乱と見てとったのです。
ダスティン・ホフマンのナイーブな演技、
アン・バンクロフトの妖艶な魅力、
キャスリン・ロスの初々しさ、
そして何よりサイモン&ガーファンクルの歌う清々しい主題歌
「サウンド・オブ・サイレンス」は不滅の輝きですし、
「ミセス・ロビンソン」「スカボロ・フェア」の歌詞の新しさ。
音楽も欠かせない要素でした。
今も映画史に輝く名作です。
琥珀糖さん
(^^ゞ
コメントせずにすみませんでした。
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共感コメントをありがとうございます。
この「卒業」も映画史に残る
教会から花嫁を奪う名シーン
印象的でした。
サイモン&ガーファンクルの曲も
感動ですよね。(^^)/
あっ、「ドミノ」
お待ちしていますね。
琥珀糖さんへ、共感・コメントありがとうございます。
如何にもアメリカ映画らしいニコルズの名作でしたね。戦前のフランク・キャプラ監督の「或る夜の出来事」と同じ花嫁強奪のラストシーンが爽快でした。そのキャプラ映画のストーリーにラストを除いて類似しているのがヘプバーンの「ローマの休日」です。この清廉なラブ・ロマンス映画と違って、1960年代後半の価値観の混乱期に不道徳をコメディタッチで描いたのが斬新でした。サイモンとガーファンクルの清流のようなメロディがまた青春期の未熟さを擁護するかのように全編流れて、完成度が上がったと思います。キャスティングも文句なし。ベンジャミンが結婚式場にひたすら走っていくところが、この映画の命、この映画の最も映画らしいシーンでした。
琥珀糖さんへ
コメントありがとうございました。
振り返ると、鑑賞した時の年齢で印象の異なる作品も幾つかありました。
若い頃に感動しても今はそこまでは感じない作品、
若い頃は何とも思わなかったけれども、改めて作品の深い意味合いに気付き、今になって感動する映画、様々ですね。
そんな中、いつ見ても、また何度観ても感動出来たり、己の人生に普遍的な価値を変わらず与えてくれる映画が、自分にとっての名画であり、自分の生涯ベストテンの作品もその一部なんでしょうね😊