「シニカルな視点が不思議な余韻を残す」卒業(1967) Naoさんの映画レビュー(感想・評価)
シニカルな視点が不思議な余韻を残す
角川シネマ有楽町で、「卒業」を観る。
「卒業」は今回で観るのが2~3回目だと思うが、高等遊民みたいな主人公(まるで夏目漱石の三四郎みたいとふとおもう)がわがままを通す話で、昔観た時は、サイモン&ガーファンクルの音楽は素晴らしいけど、内容はちょっとな~と思っていたが、今回あらためて、有名なラストシーンまで観終わったとき、この映画って実は一筋縄ではいかない、シニカルなすごい映画なのかもしれない😱、とじわじわ感じてしまった。
ベトナム戦争が並行する中で、ピュアな(別の意味ではわがままな)魂が爆走して、ラストの破天荒な逃避につながっていくそのストーリーは、やはり、「俺たちに明日はない」「真夜中のカーボーイ」(「明日に向かって撃て!」はちょっとロマンティック過ぎるが😅)と並んで、当時のアメリカの閉塞感に満ちた時代の空気をまざまざと感じさせる。今のお気楽なアメコミ映画、リアルに拘り過ぎる日本映画には到底得られない味わいが得られる、ただの青春映画ではない傑作なのかもしれない。そういう意味では、サイモン&ガーファンクルのメロディが透明で素敵すぎて青春映画と思わせてしまうのかもしれない、歌詞は彼らもシニカルなのだが。
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