「震災の記録」そして人生はつづく odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
震災の記録
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1990年6月21日0時30分、イラン北西部のギーラーン州で発生したマグニチュード7.4の地震で首都テヘランの北西部に位置するルードバールとマンジールを中心に大きな被害をもたらし、約4万人が死亡、約30万人が負傷し、約50万人が家を失った。イランを代表する巨匠として知られるアッバス・キアロスタミ監督と11歳の息子バフマンは、映画「友だちの家はどこ?(1987)」に出演した2人の少年の安否が気になりコーケルへと車で行ったそうです。後にドイツで観客の前でこの旅の話を披露した際、ある人物から映画化の提案を受け撮影を決意、セミドキュメンタリーのような再現ドラマです。いきさつは解かりませんが監督役には当時イランの経済庁で働いていた金融コンサルタントのファルハッド・ケラドマン、息子役は撮影監督ホマユン・パイバールの息子さんでプロの俳優さんではないそうです。
映画は、地震で通行止めや大渋滞の国道を避け、一見ボロ車の様だがプジョー 405 SRI(1998cc直列4気筒エンジン、FF駆動)で高級車、只管、脇道、山道を進み地震で被害にあった瓦礫と化した村々を通るロードムービーで、家族を失った圧倒的な悲しみと苦難に直面し、運よく生き残った人々の勇気と復興の決意を描いた、思いやりのある、しかし決して感傷的でも憂鬱でもない、後世に伝える為の大災害の稀有な記録映画に仕上がっていました。
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