「倫理的問題をはらんだ映画」ソイレント・グリーン REXさんの映画レビュー(感想・評価)
倫理的問題をはらんだ映画
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印象の「難しい」を選択したのは、食料問題の抜本的な解決法がないということと、死にゆく人間を食材の一つとしている世界を倫理的にどう受け止めるか、ということを考えさせられたから。
殆ど食べる物が無くなった地球上で、もう生きるのは十分だと思った人たちの肉を生者に提供するのは、合理的なのかもしれない。
しかし、今はまだ自死希望者だけで賄えてはいるけども、ゆくゆく供給する肉が無くなってきたら、行き着く先は人間の家畜化であり、待ち受けているのは人間を食べるものと食べないものにわかれる、酷いカーストのある世界である。
主人公の危惧していた通りに。
そんな世界に生きていて、人間は果たして幸せといえるのか。
絶滅してもいいのではないか、とさえ思えてしまう。
汚染されていて不毛だと言われても、都会を捨て、どこか別の場所に一縷の望みをつないで旅立ち、前向きな気持ちを持ったままくたばる方がまだマシだと思う。
一際印象に残ったのは、美人女性が「家具」として、高級マンションのオプションになっていること、老人ホームのような場所が美しい光景を見ながら死んでいく施設であることなど。ディストピア映画はたくさんあるが、古い映画ながらも近未来の閉塞感を上手く表現している。
関係ないが、チャールトン・ヘストンは笑顔が下手な俳優だなと思った(役作り?)。苦みばしった顔が、この映画の作風にぴったりだった。
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