戦争の犬たち(1980・アメリカ)のレビュー・感想・評価
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映画としては正直つまらない 原作が映画との相性が悪い以上に、それをどうにかしようという製作側の熱意が不足しているのだ
フレデリック・フォーサイスの原作
彼の小説3作目で映画も同じく3作目
舞台は赤道ギニアがモデル
この国の首都は珍しいことにアフリカ大陸本土になく、大西洋上のビオコ島の街マラボ
しかもそこは本土からは250キロも沖合い
北側の隣国カメルーンからの方が50キロで近い
カメルーンの西隣のナイジェリアからなら100キロだ
日本でなぞらえば、八丈島に首都が在るような国なのだ
つまり変な国だ
なにかおかしい
逆に言えば付け入る隙がある国だ
この国は1968年にスペインから独立している
そこから本作に登場するような独裁者の大統領が無茶苦茶な統治を長年つづけた
本作はそんな同国の1980年頃を舞台にしている
物語はこの国にプラチナの鉱脈がみつかったのだが、この大統領が邪魔で採掘できない
こいつを排除して、誰か代わりを連れてき新しい大統領に据えて、都合の良いように騙して採掘権を得たい
傭兵を金で雇ってクーデターを起こしてしまおうということになる
早速人選され、同国に馴染みのある傭兵の主人公が現地に植物研究家の触れ込みで調査に入る
そこまでが序盤
可能性を検討してやれそうだとなり、仲間を集め、武器を買い、兵隊も雇う
段取りを付けて現地に乗り込む
これが中盤
終盤は実際の戦闘になるが、作戦計画では僅か15分だ
実はこの物語は、原作者のフォーサイスが自分がジャッカルの日で一山当てて儲けた金をつぎ込んで本当にやろうとした実話がベースだ
1967年、当時彼はBBCの特派員としてナイジェリア内戦(ビアフラ独立戦争)の取材をして、その悲惨さを目撃した
ナイジェリア東部の部族が迫害をうけ独立を目論んだが逆に政府軍に包囲され飢餓、疫病、虐殺により150万人が死んだという
「骨と皮にやせ細っているが、お腹だけが異様に膨らんでいる子供達」の写真は今でも有名だ
フォーサイスはイギリスが政府軍側に荷担することを批判した報道を行ったことで左遷されてしまい遂には後にBBCを辞めてしまう
その彼がベストセラーを書いて手に入れた大金で、ナイジェリア内戦に敗れ祖国を失ったビアフラ人のために傭兵部隊を自ら雇い、赤道ギニアに対しクーデターを仕掛けて彼らの国を作ってやろうとしたのだ
それが1972年のこと
しかし実際は失敗する
本作の劇中で船に武器弾薬を積み込むところに官憲が現れて怪しむシーンがある
実際ではそこでことが露見して未遂に終わったのだ
だからこの物語は彼が本当は成し遂げたかったことを映画にしたものをベースにしている
本作ではビアフラのビの字もでない
あくまで白人による金の為のクーデターの物語だが、最後の最後にフォーサイスの理想をほんの少しだけ混ぜ込んである
しかし極めてキツい言い方をすれば、それは偽善だ
よそ様に恵んでもらう国に、なんの価値があるものか
それも他国から奪った土地で
いくら映画の中で現地民の良い大統領が統治するためだと糊塗しても胸くそは悪い
ではビアフラの人々は悲惨な運命のまま、見て見ぬふりでよいのか?
それは難しい、結論はない
しかし民族自決というなら、他国の干渉を実力で排除できる強い軍事力を持たなければ、自主独立を主張することが、ビアフラのような運命を呼び寄せることになってしまうという教訓を学ぶことはできる
日本にもその覚悟が必要になる日は近いのかも知れない
映画としては正直つまらない
睡魔が襲う
準備が具体化しだす中盤からは少し面白くなるが、主人公がプロらしさがあるが人間的な魅力が乏しいものだから、クリストファー・ウォーケンをもってしても酷薄な人物だけになってしまった
原作が映画との相性が悪い以上に、それをどうにかしようという製作側の熱意が不足しているのだと思う
正直残念な作品
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