戦火のかなたのレビュー・感想・評価
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「哀愁」の好きな方は是非!
“イタリア映画三大巨匠名作集”を購入してその中の一作として鑑賞。
デ・シーカ、ヴィスコンティ、ロッセリーニの名作が10作品で1800円強とはお買い得。
ロッセリーニの作品観賞は「無防備都市」のみだったがようやく「戦火のかなた」を観ること出来た。
6つのエピソードがあるが、戦争という混乱の中でネガティブな想像しか出来なくなる人間性の荒廃を想起させる第一話と、ヴィヴィアン・リーの「哀愁」を思い出させるような悲惨なエピソードの第三話が印象に残る。
この第三話ではイタリアを解放してくれた米軍の一兵士を親切に対応した優しい娘が半年後には生活のために体を売らなくてはならないという繰り返される戦争の悲劇が切ない。もし兵士が再会した娘が娼婦の立場に落ちていなかったら彼は半年前の娘と気が付いただろうと想像すると心が痛むばかりだった。
ただ作品全体の評価としてはドキュメンタリータッチでの表現の狙いの結果ではあったのだろうが時系列で進む各エピソード間に戦争の悲惨さの観点以外の繋がり性が無く、映画全体での盛り上がりには欠ける印象だった。
時系列よりも何らかのエピソードの関連性の中で繋いでいった方が私としてはより感情移入出来たような気がする。
しかし戦後75年となって次の大戦を防ぐためにも映画人の皆様方には絶えることなくこの手の作品製作を期待したいものである。
ネオリアリズモの名作
6編の短編で構成されるオムニバスが、時系列に従い順に並べられる
結果的に舞台もシチリア島から北イタリアのポー川に移って行く
どれも本当にあったかもしれないレベルのエピソードを若きフェリーニが手際のよい脚本に仕立てて、それぞれ味わいのある物語を展開する
それも終戦後数ヶ月の混乱の中で
演じる素人の人も、撮る側の人間もみなつい最近までの、個々の自身にも身に覚えのある記憶がそのまま生々しいままでフィルムに焼き付けられているのを感じる
監督と製作陣、素人役者達のそれを映画に残すのだとの情熱が感じられる
戦中、戦後すぐのハリウッドのお気楽な作品とは天と地の差だ
イングリットバーグマンも映画人の情熱を求めてしまったのだろうと、彼女がロッセリーニ監督の下に走り不倫にまで至った、その行動に納得ができる作品だった
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