「まだ冷戦中だった」007 リビング・デイライツ LSさんの映画レビュー(感想・評価)
まだ冷戦中だった
記憶が定かではないが、たぶん封切り時劇場で初めて見た007シリーズ。4Kレストア版公開で数十年ぶりに再見。
a-haの主題歌の印象が今でも強く、あとアバンのパイプラインとハリアーは見覚えがあったが、ほぼ初見の感覚で鑑賞。いろいろとノスタルジックな気分になった。
まだぎりぎり冷戦中(チェコスロバキアが東側)で、ソ連が敵だが彼らもアフガン紛争の只中。敵対するスパイ同士が協力もするのは、互いに予測可能な未来であることが望ましいということもあろうが、ペレストロイカの空気の反映でもあるか。
当時はシリアス色が強いといわれたが、今見るとあの頃のスパイ映画特有の鷹揚な雰囲気を踏襲していて、MやQもソ連の将軍も近作のヒリヒリした皮肉さとは違う好好爺な感じが面白い。ボンドカーもまだビックリメカ的。
あと、プレ・インターネット時代、映画が世界旅行のショーケースだったことも思い出させる。
ティモシー・ダルトンは顔だけで真剣さとスパイのミステリアスさが伝わってきてよい(すぐ交代して残念だった) 。
アフガニスタンのムジャヒディンの頭領役に見覚えがあると思ったら「トゥルーライズ」のアジズ役でネットミームとなったアート・マリックで驚いた。が、「自由の戦士」がポスト冷戦の世界でテロリストになった現実を模倣するかのようで皮肉ではある。
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