「ボンド、ティモシー・ボンド」007 リビング・デイライツ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ボンド、ティモシー・ボンド
シリーズ15作目。1987年の作品。
12年7作。まるで安倍政権さながらの長期任務に渡って国際的陰謀を阻止してきた3代目ロジャー・ムーアに代わり、4代目ボンド、ティモシー・ダルトンが初登場!
ティモシー・ボンドの魅力は、原点回帰と言えよう。
コミカル色が強く、時々荒唐無稽だったロジャー・ボンドから再びシリアスな作風に。
そして、ティモシー・ダルトン自身の精悍さ、佇まい、カッコ良さ。
男臭かったショーン・コネリーやロジャー・ムーア、地味だった(失礼!)ジョージ・レーゼンビーとは明らかに違う二枚目英国紳士風。これはこの後のピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグの先駆とも言えるのではなかろうか。
元々舞台役者だったので、原作小説を熟読し、役作り。演技は申し分ナシ。
グッと若返り、派手な立ち回りや身体を張ったアクション。
シリアスな作風、二枚目ボンド、熱演、身体を張ったアクション…それらはあくまで個人的意見だが、6代目ダニエル・ボンドはこの4代目ティモシー・ボンドから多大な影響を受けている気がする。
ショーン・コネリーの後任としてロジャー・ムーアより先に候補に挙がった事もあり。
あの故ダイアナ元皇太子妃も最もお気に入り。
実は、結構好きだったりするティモシー・ボンド。
さて、その初任務は…
00エージェントたちの演習中、何者かに殺された004。ボンドが暗殺者を倒すも、現場に残された“スパイに死を”のメッセージ…。
KGB高官からの依頼でその亡命の手助けをする事になったボンド。途中狙撃手に狙われるが、その人物は美人チェロ奏者だった。
無事亡命作戦は成功するも、何か不審感を拭い切れないボンドは、チェロ奏者のカーラに接触。そして、背後にある陰謀を突き止める…!
亡命は偽装。カーラは利用されただけ。
お馴染みKGBと、武器商人の結託。
敵か味方か、人物が入り乱れる。
主なアクションは、前半の氷上アクションとクライマックス。
クライマックスは、武器商人一派と砂漠のレジスタンスの攻防。スケールの大きなド派手な爆破の連続。時限爆弾を仕掛けた輸送機の中では、敵の殺し屋と手に汗握る一騎打ち。
ハラハラドキドキ、スリリングな見せ場となっている。
シリアスな作風に回帰と前述したが、改めて見ると、結構ユーモアも挟まれている。
その最たるが、氷上アクション。
ビーム、ミサイル、スキー仕様、ジェット噴射で大ジャンプ!…Qが手塩を込めたボンドカーが大活躍!
さらには、チェロケースでオーストリア入国!…って、そのシーンだけロジャー・ボンドかと思ったわ(笑)
やはり007にはユーモアは付き物。シリアス&ハードなのは6代目ダニエル・ボンドだけか。
ボンドガールは、マリアム・ダボ。
男なら守ってあげたくなるような可憐なヒロイン像。
クライマックスはボンドを助けようと自らも奮闘。
忘れたチェロを取りに戻りたい、と足を引っ張る事もあるが、充分魅力的。
ボンドと次第に惹かれ合う様もじっくり描かれ、3代目の時のような親子の歳の差ロマンスではなく、美男美女で画面映えもし、ロマンチックなムードを盛り上げる。
これまた3代目の時とは違い、誰彼構わずベッドインせず、キスシーンはあるがボンドガールとベッドインはナシというのも異例。
敵側もクセ者揃い。
Mは続投。マネーペニーも2代目になり、演じたキャロライン・ブリスがボンドガールでもいいと思うくらい若くてキュート。
監督ジョン・グレンも続投。
シリーズ12作で音楽を担当したジョン・バリーは本作で最後に。伊福部ゴジラのように安定定番であった。
惜しくも僅か2作で降板してしまったティモシー・ボンド。
が、その面白さは上々!
余談。
やっとこさ4代目。
4月にシリーズ再見始め、現9月で15作目。残り9作。
このペースだと、11月の最新作まで間に合わなくなってきたような…。
ペースアップせねば!