「「英国の任務、遂行中です」」007 私を愛したスパイ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「英国の任務、遂行中です」
調べてみたら自分が9才の頃に公開された作品なのだが、多分その公開時期に父親に連れて行って貰った初めてで、最後の観賞だったと記憶している 母親には東映まんがまつりとかはあったけど
そんな唯一の想い出を忘れられないのは決して父親が連れて行ってくれたことが嬉しいのではなく、とにかくロータス・エスプリの潜水艇へのフォルムチェンジに食らいついたことが脳裏に離れられないのであった その後スーパーカーブームがあの頃の日本中の少年達を虜にして狂わせていくのであるが、今作とは関係無いのでここまでに・・・
007シリーズ4Kレストア上映とのことで、脳裏に埋めていたその想い出をどこまでサルベージ出来るか、それとも老化に依るアンカー未回収で途方に暮れるか、実験的意味合いも込めて46年振に観賞
実は007シリーズの映画鑑賞は今作以外は一切無く、確かにオープニングのガンバレル(銃口の穴からの登場)等、テレビで観たことあるかもといった混濁が交じっていて、呼び覚ますという感覚には至らなかった それにしてもこの時代からR指定ってあったのか、それとも始めから作品の規定線を設けていたのか分らないが、直接的濡れ場やヌードシーン、バストトップの露出等は描かれない 勿論濡れ場はあるのだが、口づけなども今観るとそこまで濃厚には感じられなかったのは、変な映像の見過ぎのせいか? それでも、ラストの救助ポッドのまるで回転ベッドのような内装は、記憶の引き上げに成功した事を感じさせてくれるエロティックなシーンであった(苦笑 吊り橋効果なのか、それとも同じスパイ同士通じる勘なのか、恋人(アバンタイトルでの、実は"トリプルX"は女性だったという勘違いオチのひとくさりも、演出の小気味よさ)の敵であっても、救助に来てくれたことでの愛情にコロンと転換していく或る意味カラリとしたユーモアさに、娯楽の王道をまざまざと感じさせる作劇である
エジプト、イタリアといった観光映画的要素も入っていて、今でもこのパターンが綿々と引き継がれるプロットは、教科書といっても良いのかも知れない完成形なのだろう
さて、ロータス・エスプリの登場は中盤のイタリアなのだが、記憶だと砂浜から浸海していったとばかり記憶していたが、逆で這い上がる時だったのだと改めて確認 多分現場ではあのシーンの撮影は相当大変だった筈と、苦労が容易に想像出来る演出である 車高が極端に低く(まるで白いゴ○○リ)殆ど寝る姿勢のコックピットは、運転していれば上を見上げるような姿勢なのだが、車内セットはもっと広く作ってあり、いわゆるボンドカーの真骨頂のスパイギミックに凝った造りで、現在でも決して古さを感じないのは、余計な計器類が所狭しとダッシュボードを占領せていなく、エレガントなヨーロピアン仕上げに設えている点に改めてそのデザイン性の高さを感じさせる
タイヤが格納されてラダーがにゅっと突出する、又は急にカット変更の画面で突然設置してある後ろのスクリューとか、大きくなった子供(自分)でもワクワクするギミックの演出であり、映画の外連味とウィットを存分に楽しませてくれる作品であった
原爆の演出方法やジェンダー的には、今日ではコンプラ案件であろうが、まぁ、昭和はこんなもんであり全く以て酷い時代だったと自省の念も込めて・・・<(_ _)>
コメントありがとうございます^ ^
公開時、私は8歳だったようですが映画館に連れていってくれる両親ではなく(ヤマトや999は教室の話題についていけず悲しい思いをしました。)
バラエティ番組やマンガなどでネタにされる断片情報のみが当時の記憶。
でもエスプリシーンは幼い脳裏に焼きついていますw
初見はTVの月曜ロードショーなのですでに中学生になっていたようです。8歳頃から007などを彷彿とさせる某スパイ漫画の大ファンでしたので知識の蓄積があり分析的な鑑賞が出来たかもしれません。
いぱねまさんのレビュー、当時の空気が想い起こされ大変懐かしく拝見致しました。
また共感作にて宜しくお願いします。