劇場公開日 1973年7月14日

「東野 英治郎が西村晃になった時と同じ感覚」007/死ぬのは奴らだ pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0東野 英治郎が西村晃になった時と同じ感覚

2021年5月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

単純

レーゼンビーで、コネリー以外がボンドを演じる経験をしていたので、ムーアへの変更も割り切って観られた。
例えるなら、水戸黄門で東野 英治郎が西村晃になった時と同じ感覚だ。
コネリーからムーアなら月形龍之介から東野の方が近いんだろうが、物心ついた時からずーっとご老公は東野だったのだから仕方ない。つまり私はムーア・ボンド世代なのだが、007はコネリー作品を頻繁にTVでやっていたからね。コネリー派です。

そんな訳でムーア作品にはあまり愛がないのだが、真っ新な気持ちで偏見無く観ていく事にする。
まず、ロジャー・ムーアの若々しさには感心した。コネリーより3つ年上には見えない。なかなかキープしてらっしゃる。

今回はNYのハーレムと、カリブ海ジャマイカが舞台。原作では2作目。
ジャマイカは、かつてコロンブスに征服され、ネイティブ・アメリカンは酷使・惨殺されてほぼ絶滅。代わる労働力としてアフリカから強制連行された黒人達の子孫が9割を占める土地。
それに加えて、カトリックでは「奴隷の邪教」として忌み、畏れられたブードゥが本作を彩る。
独特のダンス、太鼓、歌、生贄、神懸かり。至上神「ロア」は緑色の蛇の姿で顕現する。欧米のカトリックでは、蛇はエデンの園でエヴァを騙した悪魔の化身だし、ゾンビにされる刑罰などもあり、欧米人から見れば怪しさ満点だろう。

ヴィランは、カリブ海の架空の国サン・モニークの大統領カナンガ。自らハーレムの大物として顔を利かせ、NYに麻薬を無料でばら撒き中毒者を増やそうとする。市場価値を吊り上げる為だ。
B.Gはタロットを操るブロンド美女、ソリテア。正統派の英国美人で良いね♪
あとは印象に残ったのは派手なボートチェイス(ジャンプは見事でした!)
鮫、S&W M29くらいかな。
そりゃあ、.44マグは好きだけどさ。ボンドはPPKなんじゃない〜?
これって、ダーティーハリーより、あとだったっけ?
と思って調べたら2年後だね。これは影響受けてるよねw

ワインでもマティーニでもなくバーボン飲んでるし、ボンドカーじゃなくボンドボートだし、.44マグだし、Qも出ないし、なんか、コネリーとは全く違うボンド像を構築しようとでもしてたのかな?
(時計だけは変わらずサブマリーナだった。ロレックスから広告料でも貰ってたのかな?)

まぁ、なんだかブードゥの祭儀でドンドコドコドコ妖しい雰囲気に飲まれてるウチにボートが爆走して、煙に巻かれた感じだ。
な〜んとなく、ドタバタしているウチにボンドがコネリーからムーアに入れ替わっちまった。きっとブードゥの呪(まじな)いなんだろうから、まぁいいや。
そんな気分にさせられた、ムーア第1作であった。う〜む。

pipi