「日本珍作戦!」007は二度死ぬ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
日本珍作戦!
シリーズ5作目。1966年の作品。
アメリカとソ連の有人宇宙船が消息を絶ち、一触即発。
MI6はボンドに任を当たらせていたが、殺されてしまう…!
勿論これは偽装。再び任を開始。“ノー・タイム・トゥ・ダイ”。
不審なロケットが着陸した場所にボンドを派遣する。
そこは…
日本!
まず何と言っても、現時点でシリーズ唯一。世界的大人気大ヒット作品の舞台が日本に!
これほど嬉しい事、誇らしい事はないだろう。
当時日本でも絶大な人気だったので、マスコミやファンは熱狂。コネリーが行く所何処でも、トイレまでも殺到したという。スターも大変だよ。(…あ、言うまでもなく“多目的トイレ”じゃないよ)
大規模な日本ロケも敢行。東京オリンピック後の日本の雰囲気も見物。そんなの日本映画でも珍しくないが、外国映画から見たというのがユニークな視点。ネオン街は後の『ブレードランナー』の原点…?
日本人俳優も活躍。
ボンドに協力するGメン…じゃなくて、日本諜報機関のボス役に丹波哲郎。天下のショーン・コネリー相手に一歩も引かない堂々とした存在感の丹波サンってやっぱり凄い。
ボンドガールも日本人女優。魅惑的な若林映子と、やたらとビキニ姿が多い浜美枝。尚怪獣映画ファンなら、この二人のキャスティングには間違いなくニヤリとするだろう。
一連の事件の裏に潜むは、因縁のスペクター。
そして、いよいよ登場する。ナンバー1ことスペクター首領。
エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド!
顔を現し名乗るシーンは、第1作の「ボンド、ジェームズ・ボンド」と同じくらいゾクゾク!
演じるは、名優ドナルド・プレザンス。インパクトも充分。
クライマックスは休火山内に造られたスペクターの秘密基地で大攻防戦。
日本が舞台で日本人俳優も出演し、ブロフェルド率いるスペクターとダイナミックなアクションが繰り広げられ、そしてコネリーがボンド降板を公言…。
一際印象に残る一作に。
そう、“印象に残る”シリーズの一作なのである。ある意味で。
今作も娯楽作としては上々。
だけど、どうしてもどうしても気になっちゃうトンデモヘンテコ日本描写の数々…。
日本にまさかの諜報機関が! 公安ならまだしも…。
その諜報機関に、何と忍者! 無論時代劇に出てくるような忍者ではなく、“現代忍者”と呼ばれるこの諜報機関の特殊部隊みたいなものなんだけど…。訓練はメッチャアナログ。
ニンジャにスモーレスラーにゲイシャ…外国人が連想する典型的なニッポンのオンパレード。日本美人が下着姿で身体を洗ってくれる、ここは夜のお店ですか??
ワオ!エキゾチック・ニッポン!
最たるは、ボンドが日本人に変装!
…あの、誰がどう見たってショーン・コネリーなんですが。
数々のミッションをクリアしてきたボンドも、これだけはインポッシブルなミッション!?
半世紀も前の外国映画だからか、真面目にやってこれなのか、リアリティーよりあくまで娯楽作に徹したのか。
そんな事も含めて楽しむべき…なのかな。
ブロフェルドとの決着は次回に持ち越し。
本作でコネリーはボンド役降板を公言したのだが…、
ショーン・ボンドはまた帰ってくる。
別れを告げるのはその時に。