劇場公開日 1965年4月1日

「アストン・マーティンはここから始まる」007/ゴールドフィンガー pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アストン・マーティンはここから始まる

2021年5月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

歴代ボンドカーは多々あれど、それでもやはりボンドカーと言えばアストン・マーティン。アストン・マーティンと言えばボンドカーであろう。

そうか、秘密兵器(ここは敢えて「秘密兵器」と呼びたいw)満載の、アストン・マーティンDB5の初登場はゴールドフィンガーだったっけ。
かのチャールズ皇太子も幼少のみぎりはコーギー社のキコキコカーにお乗り遊ばしていたというのだから、正に英国王室に愛された007である。

「Q」に説明を受ける時点ですでにワクワクものだが、機関銃・各国ナンバー可変プレート・スピンナー・防弾装甲・携帯発信器&受信機(有効距離240km)・煙幕・オイル散布装置・イジェクトナビシートなどなど。
もう、いつ使われるかと思うと実に楽しい。
2作目で乗っていたル・マン4連覇のベントレーも良いが(第2〜8回の短期間に優勝5回!当時は最速最強のラリー覇者がベントレーである。)ロールスロイス傘下に入ってからは大人しくなってしまったので、純血のスポーツカーとしての系譜を受け継ぐ英国車はアストン・マーティンで決まり!であろう。(ロータス?エスプリ登場する時代まで待ってねw)

美女も惜しみなく使う。ジルかティリーがボンドガールか?と思うが呆気なく退場となる。
沢田研二の歌に「背中まで45分」というのがあるが、コネリーボンドは「背中まで5分」すらかからない(笑)

それにしても、70年代から80年代初頭を彩る数多の漫画作品が次から次へと脳裏にオーバーラップしてくる。みんなゴールドフィンガーの影響を多分に受けていたのだなぁ、程度に鑑賞中は思っていたが、ハタ!と気付いた。
そうか!本作自体が非常に荒唐無稽なエンタメに振り切っているから、漫画文化と馴染みが良いのだ!

ボンドカーの秘密兵器は、多機能詰め込んだ筆箱にワクワクする小1男子の心情と根底は変わらない。
オッドジョブ(ハロルド坂田)の山高帽もウッカリ違和感なく観ていたが、特撮ヒーローものの怪人か幹部そのものじゃないか(笑)
気障極まりない台詞も「背中まで5分」も、漫画の主人公ならば充分可能だ。(現実で真似しようとしてはいけないw)
潜水服の下の純白スーツに皺一つ無くても、頭に志村けんの白鳥か!っつー水鳥が付いていても、レトロな忍者みたいなものだと思えば許せる。(いや、許せるかなぁ?)
全裸金粉美女も、寺沢武一辺りに任せれば美麗なポップアートに仕上げてくれるだろう。
(そう言えば、ジャニーズ「忍者」のデビューシングルコスチュームデザインは寺沢武一だった。双方のイメージがまるで結びつかないが、SMAPが聖闘士星矢演ったのも時期が近いから、ジャニーズも迷走していたんだろう)
美酒に対するスノッブ気味のこだわりも、ボンドなら嫌味がなくて格好良いんだなぁw

斯くして007シリーズは60〜70年代を代表する娯楽大作となり、そのインパクトを受けて育った若きクリエイター達の中に血脈は受け継がれていく・・・。
作品内容そのものよりも、後世に与えた多大過ぎる影響に拍手を贈りたい。
コネリーボンドは正しく時代の寵児であったのだ。

pipi