Zのレビュー・感想・評価
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権力と金
最初は酔っ払い運転のオート三輪にはねられて重傷を負ったイヴ・モンタン。その後死亡するが、解剖結果では頭を殴打されたことがわかった。新聞記者であるジャック・ペランはカメラを下に構え、隠し撮りのようなポーズ。最初は嫌な奴だと感じるけど、真相を暴く記者魂の塊りなのだ。予審判事のトランティニャンに協力し、革新政党と対立するキリスト教系の右翼が怪しいと確証を得る。
証言しようとした男が同じようにトラックから殴打されたり、警察署長に命令された人間の恐ろしさ。これもまた貧困によるものだったけど、そう考えると、権力や金というのは恐ろしいものだ。
ドロドロした展開とはならず、最後の予審判事の果敢な起訴は爽快!しかし、実話を元にして作られた社会派映画であるので、そう簡単には終わらない。これら判決のために軍事政権は崩壊するわけじゃないという後味を残しているわけだ。予審判事は左遷だし、新聞記者も微罪で投獄。勇気ある判事なんて現実にはいないよなぁ・・・
落差に思わず苦笑
敏腕検事が極右団体と癒着した官憲組織と相対するポリティカルフィクション。議員暗殺のあたりまではシリアスなトーンで物語が進んでいくが、後半になると軽妙なブラックコメディのきらいが強まっていく。検事が警察組織の上官を次から次へと謀殺容疑で起訴していくシーンはカタルシスと諧謔味たっぷりだ。しかし検事の働きも虚しく、ラストでは無惨にも反体制側の人々が投獄され、反対に警察上官らには何の処罰もなかったというニュースが流れる。ニュースを読み上げるのは反体制側に寄り添った取材活動に取り組んでいた男性記者だった。すると途中からニュースを読み上げる人物が女性に変わり、男性記者もまた処罰を受けたことが明かされる。検察たちの快刀乱麻を断つがごとき大立ち回りも、結局のところ官憲組織の横暴には力が及ばなかったのだ。シリアスからコメディへと非現実化されつつあった物語は、ここへきて唐突に現実へと引き戻される。あまりの落差に思わず引きつった笑いが浮かんでしまった。
ギリシャの軍時政権下の暗殺事件を扱っています。
暗殺される議員をイヴ•モンタン、事件を取り扱う予審判事をジャン=ルイ•トランティニャンが演じています。
暗殺に至るまでの不穏な雰囲気が良く出ていて、ドキュメンタリーのよう。
職務に忠実であろうとする予審判事ですが、事件に迫るほど疑念が湧いてきます。
やがて、予審判事にも圧力がかかり始めますが、彼のとった行動とは•••。
現代にも通じる重いテーマを、印象的な音楽と共に描いている秀作です。
殆どTV放映されないので、見る機会があればぜひオススメします。
ジャン=ルイ•トランティニャンは「男と女」が有名ですが、個人的にはこちらの役の方が気に入っています。
熱い時代の思い出が
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