世代のレビュー・感想・評価
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アンジェイ・ワイダ監督「抵抗三部作」の第1作目
アンジェイ・ワイダ監督のデビュー作で「抵抗3部作」の第1作目。
1940年代のドイツ軍占領下ポーランドを舞台に、反ナチ運動に捧げる青春を描いた若者たちの抵抗する姿を描いた作品。
友人たちとナイフ遊びをして、ドイツ軍の列車から石炭を盗んだものの友人1人がドイツ兵に射殺された普通の男が、反ナチス運動に加わっていくあたりの物語が流麗に綴られる。
そして、働いている工場から拳銃を盗んで……といった場面を観ていると、「次はどうするのか?」と思いながら顛末を見届けることになる。
とてもシンプルだが、込められたメッセージから強い意志を感じる作品であり、見応えのある場面多数。
アンジェイ・ワイダ監督の手腕は、デビュー作から冴えている。
普段忘れてる民族の誇りなら綺麗に忘れてしまえ!
元々は友達と享楽的な遊びをしたり、汽車から石炭を盗んで日銭を稼いだりしていた青年が、レジスタンスの美しい女性リーダーの気をひくために、活動に参加し、しだいにのめり込んでいく話。その過程や結末は悲劇や分裂しかない。女の美しさは罪だね。
ポーランドではこうした抵抗の歴史が誇りある歴史の一部とされているらしい。民族の誇り?神風特攻隊が日本人の誇りとされたら、我々日本人は素直に受け入れられるのか?
レジスタンスの女性リーダー、ドロータは武力による抵抗が野蛮だと言われたら、他に方法が無いと返せと演説した。本当にそうだろうか?
『世界の片隅に』のすずさんはのほほんとして、反戦という訳でもなく、ただ戦争に突入していく時代の流れを受け入れて耐えていた。そんなすずさんだから、戦争が終わったら喜ぶとばかり思っていた。ところが、なぜ最後の一人が死ぬまで戦わないのかと国を呪った。いつの間にか戦争の当事者になっていたのだ!近しい人達の悲惨な犠牲がそうさせた!
このように武力による解決は嫌が応にも戦争の当事者を増やしていくのだ。そして戦争を始めた者達が正当化されていくのだ。この覆しようのない流れを食い止めるのは最初しかない。民族の誇りの礎になるのが本当にそんなにいい事なのか、今一度考えて欲しい。アンジェイ・ワイダ監督は若い頃にレジスタンス活動に身を投じていたそうですが、晩年はその事をどう思っていたのだろう?誇りに思ったのだろうか?
民族の誇りが本当に素晴らしいものなら、抑圧されたくらいで消えたりしないんだよ。どんなに美味しいパンを食べようが米の美味さは忘れない、心揺さぶるロックンロールを聴こうが、日本人の心には民謡か響いている。それほど強固なものなんだよ、民族意識は。そうじゃない奴は元々民族の誇りなんか持ち合わせていない。嫌なことをされて腹を立てているだけなんだよ。そんな争いに人を巻き込むなよ、頼むから。
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