「ずっと僕のそばに居て」スタンド・バイ・ミー かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと僕のそばに居て
——僕らの生まれたキャッスルロックは田舎町だった。
キング当人であろう主人公を語り手に、四人の少年がいっしょに居られる最後の夏を冒険する。
【ストーリー】
主人公のゴーディは作家志望の少年。
優秀なフットボール選手だった兄が死んで、家族から表情が消え、家の中はいつも薄暗かった。
一番の友人クリスは、優秀な頭脳を持ちながら家が貧乏なせいでいい学校にはいけない。
メガネのテディは敬慕する父親からDVを受けていて、感情が抑えられない。
小太りのバーンは言動が幼く小心者。
仲間と秘密基地で悪ぶりながらくつろいでる最中、バーンがでっかいニュースを持ってきた。
不良グループの下っぱの兄が、行方不明の同い年の少年が、死体となって農場の線路ばたに転がっていたと話していたのを盗み聞いたという。
「それを見つけて通報すれば、俺たちは一躍この町のスターになれるぞ!」
秋にはそれぞれ別の学校にゆく彼らの、一夏の冒険が始まる。
スティーヴン・キング原作の中編「ザ・ボディ(死体)」の映画化。
「ショーシャンクの空に」「ゴールデン・ボーイ」と共に表題「四季」の夏の一編として、この作品は書き上げられました。
内容の地味さから、単体では出版されないと危惧したキングが、それでも世に送り出したくて他の3作品とセットにしたという裏話も。
監督は「最高の人生の見つけ方」など感動作品で知られる、登場人物の喜びや悲しみを優しい視点で撮るロブ・ライナー。
当初は低予算の小劇場作品だったものの、内容の素晴らしさからリピーター続出、公開が拡大されアカデミー賞にノミネートまでされた名作です。
俳優陣も素晴らしく、特にクリス役のリバー・フェニックスは将来を嘱望された、夭折のイケメン俳優。
世にも恐ろしい空気感で不良たちを仕切るエースは、その後24シリーズで世界を席巻したキーファー・サザーランド。
二十歳とは思えないギャングのボスの貫禄を醸しています。
何よりシーンを印象的にするのは、劇中にラジオから流れる数々のオールディーズ音楽。
1950年代後半にヒットした数々の名曲、タイトルにもなったスタンド・バイ・ミー、線路を歩き踊りながら歌うロリポップ、エースたちが"ポスト野球"をしながら爆音で鳴らすヤケティ・ヤック、火の玉ロックにミスター・リー他多数。
冴えた配役とストーリー、美しくダイナミックなアメリカの片田舎の風景、そして素朴なエネルギー溢れる音楽が、見たあなたにも忘れられない夏を与えてくれることでしょう。
こんにちは
共感そしてコメントありがとうございます。
詳細で繊細なレビューに感動しました。
不慮の兄貴役のキーファー。
その後、24のジャック・バウワーでヒーローに
なるなんて想像もできませんでしたね。