「ルーカス監督の映画青年らしい演出のダイナミズムと脚本の未完成」スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
ルーカス監督の映画青年らしい演出のダイナミズムと脚本の未完成
ジョージ・ルーカス自ら演出の今年最大の話題作で、本国アメリカでの評価が低かったので心配したが、まずまずの面白さだった。CGが発達した今日の映画の在り方から言えば、映像がアニメに近づくのは仕方ない。問題は、生身の人間がCGの映像の中で存在感を出してくれればよい。残念な点は、スターウォーズの始まりの物語のダースベイダーの少年時代の話としては、プロローグにもっと力をいれてもらいたかった。特に子役の登場の仕方に工夫が足りない。
力が注がれたレースシーンの迫力と、ラストの決戦の場面の四つのシーンをクロスカッティングした危機と劇的勝利の畳みかける演出力と編集のダイナミズムはいい。黒澤明作品からインスピレーションを得た美術の独創性含め、映画青年たるルーカス監督の良さは充分表れていると思う。脚本は省略が多く、物語の語り部分が弱い。見せたい欲求が勝っていて、あと30分くらい付け加えて緩急のリズムを生んだなら傑作になったと思う。
1999年 7月20日
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