劇場公開日 1979年6月30日

「これが「古き良きスーパーマン」?」スーパーマン(1978) ハッカ飴1/2さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これが「古き良きスーパーマン」?

2023年10月3日
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鑑賞方法:VOD

笑える

単純

興奮

久しぶりのレビュー。ピーター・サフランと共に新たな「DCユニバース」を作るジェームズ・ガンが第1作「スーパーマン:レガシー」に関してどこかで言っていた「古き良きスーパーマンを目指す」という発言の真意とDCコミックスのヒーローを元にしたドラマシリーズ群「アローバース」のクロスオーバーイベント「クライシス・オン・インフィニット・アース」において本作と「スーパーマンⅡ」、「スーパーマン・リターンズ」から地続きという設定になっている数多のマルチバースの1つ「アース96(コミックス[キングダム・カム]の出版年1996年に由来)』の予習として鑑賞。
筆者が物心ついてから持っているスーパーマン像は「マン・オブ・スティール(2013)」や先述のアローバース作品の「スーパーガール(2015-2021)」、「スーパーマン&ロイス(2021-)」における「悩み、もがきながら進むスーパーマン」だ。それを踏まえてみると、スーパーパワーのせいで孤立しながらも自分を揶揄った相手を驚かせるほどの図太さ(?)と「自分は何者か、なんのために地球に来たのか」という葛藤が簡単に解決されてしまうのが少し物足りない。「レガシー」はスーパーマンのオリジンではなくクリプトン人カル=エルと地球人クラーク・ケントという2つのアイデンティティの間で折り合いをつけていく話とのことなので上手くハイブリッドしてくれることを期待する。
スーパーマンの飛行シーンや能力などの映像表現は1978年当時の技術的には仕方ないのだがドラマと比べてしまうとやはりショボい。目からビームを出す「ヒートビジョン」、氷の息「スーパーブレス」がないのも寂しかった。
レックス・ルーサーとその一味(オーティスとイヴ・テシュマッカー)もなんだかコメディチックに過ぎる。西海岸を支配するという目的もなんだか小さくて小悪党に見えてしまった。クスッと笑えるのはいいがやはり宿命のライバルであるからには絶対的な巨悪であってほしい。ただスーパーガールに登場する小ネタの元ネタが見れたのは僥倖(ルーサーのスパイとして主人公カーラ・ダンヴァース/スーパーガールの職場に潜入したテシュマッカーがキャリスタ・フロックハート演じる同社の社長でクラークと今作で彼と年齢が一回りほど離れてる描写が意外だったロイス・レインの元同僚キャット・グラントに「テシュマッカーさん!![Ms. Teschmacher!!]とドヤされるシーン、オーティスがアニメ版スーパーマンのアニオリキャラとして初登場したルーサーの側近マーシー・グレイヴスの兄として登場)。
クリプトン星の描写もDC実写作品において「バットマン・ビギンズ」以来のリアル志向に慣れきった側から見ると不思議な世界だった。ジョー=エル(マーロン・ブランドの台詞の間でカンペ見てるの分かるのが残念)達クリプトン人の服が眩しすぎる、ファントム・ゾーンがシュールすぎる、クラークの宇宙船が奇抜すぎてこれを飛ばしたのが爆発の原因なんじゃないかと思えてしまう。
映像表現のチープさ(重ねて言うが時代的に仕方ないとはわかっている)、悪役の描き方(ジーン・ハックマンは嫌がらずに坊主にしなさい)などがっかりする要素は目立ったもののこれはこれでヨシ!

ハッカ飴1/2